魔法少女リリカルなのはStrikerS〜孤独の歌〜
□共通ルート一話〜十話
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第二話「魔法都市?」
――真っ暗だ。
俺。どうしたんだっけ?
確か……仕事の帰りに死のうと思い立ち、んで幼……女の子をかばって車に……
俺死んだよな?うん、あのスピードの車と衝突したんだし死ぬはずだよね?……ね?
――ここが死後の世界ってやつなのかな?
なんかイメージと違う。
頭を整理しながら、考える……
死のうと思ってすぐ死ねた、しかも痛みを感じる間もなく、これは神様に感謝しないといけないな……俺無神論者だけど……神様ありがとう!!
しかし誤算が一つ、
―死んでも意識がある―
これには正直困った、死んだら意識なんかなく何も感じなくなるんだとばかり思っていたが、意識はしっかりしてるし、なんか生温かいし、息苦しい……うん?
息苦しい?んなばかな、何で死んでるのに息苦しい?死んでも呼吸ってするのかな?
――しないよな?
予想と違う状態に戸惑う俺、さらに追い打ちをかけるようにいきなり全身が絞め付けられた。
「――!?!?」
痛い、とんでもなく痛い、痛みも感じるのか!
声も出ない!
何かに引っ張られるような感覚、急に辺りが眩しくなった。
「もう少しですよ!頑張って!」
――なにを?
「今頭が出てきましたよ!もう一息です!」
――頭?なんの?
「赤ちゃんも頑張って!もうすぐ出られるからね!」
――赤ちゃん?誰の?
次の瞬間、何かを切られるような感覚と鋭い痛み。
「オギャア〜〜!?(いてえええええええ!?)」
思わず叫ぶが、え?オギャア?
「おめでとうございます、元気な男の子ですよ!」
――は?
だんだんクリアになる視界、映ったのは粉でも舞ってるような景色と、色とりどりのオーラ?を纏った看護士たち、変な顔の医者。
――病、院?
ちょっと待ってくれ!頭が付いていかない何がどうなってるのかさっぱりわからない。
ショートしそうな頭を抱えようとして気付く、なに……この手?、
そこにあったのは、小さな赤ん坊の手、全裸の体……
「オギャア〜〜〜〜〜!?!?(なんじゃこりゃあああああああああ!?!?!)」
――前言を撤回する……神様とか……まじ死ねよ……
そして、自分のことで頭がいっぱいだった俺は、母親であろう人物の複雑な表情に気が付いていなかった……
――新生児室――
あれから、丸一日たった。俺はいまだ整理のつかない頭で状況を確認していた。
@俺は猛スピードの車に轢かれて死んだ……はず
Aだけどなぜか生きていて、体は赤ん坊になっている
B転生?
Cプレートに書いてある文字が読めない……てか何語?周りの機械も見たことないし……
Dなんか眼がチカチカするっていうか、変なオーラが見える
E俺の母親であろう人物は一度も俺を抱いていない(てか顔もろくに見てない?)
まぁ……Eはどうでもいいとして、重要なのはB〜Dだ。
まず、B……認めたくないが、状況的に転生って考えるのが一番しっくりくる。
次に、C……見たこともない文字ってことは、ここは外国?でもしゃべってる言葉は普通に聞き取れる。
となると考えられるのは……別の世界?
最後に、D……これが一番の問題だ、なんかハウスダストのCMみたいな、なんて表現したらいいのか、細かい粒みたいなものが空中にたくさん浮いている。でも触ろうとしても触れない……なにこれ?
そしてなんか、看護士もそうだけど周りの赤ん坊もなんか、いろいろな色のオーラ?ってか光の膜みたいなのに包まれてる、てか俺も包まれてる……色は薄緑。
死ぬ前に、こんなものが見えた覚えはないから、過去に戻った。とかではなくまったくの新しい体と考えるのしかない。
よし、まとめよう……つまりは……
俺は人生に絶望して死にました⇒でも神様の気まぐれで前世の記憶を持ったまま転生しました⇒しかもここはどうやら前住んでたとことは違う世界っぽい⇒しかも変なものが見える目のおまけつきだ♪⇒神様ってやつは……俺が嫌いなようだ⇒もうやだ……この人生……
――それからさらに、4日たった。
ケージの前に誰かいる、誰?この女の人
疑問に思っていると、近くにいた看護士が女性に声をかけた。
「退院ですね、外は暗いので気を付けてくださいね」
「―――はい、お世話になりました。」
ああ、こいつ母親か……初めて見たよ顔、変なオーラ?は緑色ね、はいはい一緒一緒。
そのまま俺は、母親?に抱かれて病院を後にする。
――で、現在なんかどっかの建物の前にいる。時刻は深夜。
なんか門にプレートが貼ってあるってことは、何かの施設かな?……読めないけど。
で、この母親?かごに入れた俺を、門の前に置いて泣きながら何か言ってる。
「―――だから、ごめんね……ごめんね……貴方が悪いんじゃないのよ、あいつが……悪いの……」
えと……つまりは、どっかの男と子作り⇒捨てられた⇒もう出産拒否できない日数がたっていた⇒でもこの子を見ているとあの男を思い出すから一緒にはいられない⇒全部その男のせいだから、恨むならそいつを恨んで
――知らんがな。
というか、今回の俺は特殊な例として、物心ついてない赤ん坊に何言ったって覚えてないだろう。
じゃあ、何のために?そんなの決まってる自分を正当化するためだ……うぜぇ。
前の世界の母親も……そうだったのかな?生まれたばっかの俺に、自分を慰めるためだけの言い訳を並べて、捨てて行ったのかな?
――何かすげえ腹が立つ。怒鳴り散らしてやりたいが、悲しいかな「オギャア」ぐらいしか言えない身……転生したっていうのに、前と何も変わらない状況……いや、捨てられる様を認識できる分、今のほうが悪いか。
そして戯言を並べ終わった、母親?……いやもうどっかのおばさんは去って行った。
一人残された俺は、これからの事を考えていた。まぁロクな施設じゃないよな……経験上
――こうして、俺の2度目の人生は幕を開けた……けど、もう幕降ろしてぇよ……
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