魔法少女リリカルなのはStrikerS〜孤独の歌〜

□共通ルート十一話〜二十話
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第十一話「訓練と復習@?」








動き出す機動六課……

そして同じフォワードの2人との出会い……

それぞれ初訓練に向け期待と不安を募らせながら……

訓練の始まりを待つ。


魔法少女リリカルなのはStrikerS〜孤独の歌〜始まります。






——機動六課訓練スペース——

「今返したデバイスには、データ記録用のチップが入っているから、大切に扱ってね。それとメカニックのシャーリーから一言」

なのはさんと合流して、訓練スペースまで来た俺達。訓練着に着替え、ウォーミングアップのランニングを終えた俺達は、なのはさんともう一人、眼鏡をかけた茶髪のロングヘアーの女性の前に一列に並び説明を受けていた。

「え〜メカニックデザイナー兼機動六課通信主任のシャリオ・フィニーノ一等陸士です。皆はシャーリーと呼ぶので、よかったらそう呼んでね。皆のデバイスを改良したり、調整したりもするので時々訓練を見せてもらったりします。……あ、デバイスについての相談があったら遠慮なく言ってね。」

「「「「「はい!」」」」」

シャーリーさんの挨拶にそろって返事をする俺達。……デバイスマイスターか、今度AIプログラムの件で相談してみようかな……

「それじゃあ、さっそく訓練に入ろうか」

「は、はい……」

「ここで……ですか?」

なのはさんの言葉にスバルとティアが返す。

確かに今、俺達の前には海に浮かぶ小さな人工島みたいな物しかない。あそこで訓練するにしても障害物も何もないな……

「シャーリー?」

「は〜い」

なのはさんの言葉に、シャーリーさんが端末を展開する。

「六課自慢の訓練スペース、なのはさん完全監修の陸戦用空間シミュレーター……ステージセット!」

端末の操作が終わると、俺達の目の前に小さな街が現れた。……すげぇ。









——訓練スペース付近———

訓練スペースを静かに見つめる赤髪の少女に、シグナムが近づく。

「ヴィータ……ここにいたのか」

「……シグナム」

「新人達、さっそくやっているようだな」

「……ああ」

ヴィータと呼ばれた少女は、見た目に合わぬ落ち着いた様子で返す。

「お前は、参加しないのか?」

「五人とも、まだよちよち歩きのヒヨッコだ。私が教導を手伝うのはもうちょっと先だな……」

「そうか」

シグナムの問いかけに、ヴィータは新人達を見つめながら答える。そして付け足すように、

「それに自分の訓練もしたいしさ。同じ分隊だからな。私は空でなのはを守ってやらなきゃならねぇ」

「……頼むぞ」

ヴィータの言葉を受け、シグナムは何かを思い出すように前を見た。








——訓練スペース——

今俺達は、訓練スペースの設定中ということで体をほぐしながら待機していた。

スバルはエリオと話し、ティアはキャロと話している……あぶれた俺はフリードと話していた。

「——キュル、キュイキュキュイ!(って感じの攻撃だよ!)」

「へぇ……炎か、それは強力そうだな。さすが竜って感じだね」

「キュックイ!(えっへん!)」

ブラストフレアという技の説明を受けて、俺が感心する。するとフリードは、俺の頭の上で体を反る。……かわいいな、こいつ。

どうやら言葉がわかるのがよほど嬉しいらしく、完全に懐かれ、さっきからずっとフリードは俺の頭の上に乗っている。


「よし!準備できた。皆〜はじめるよ」

なのはさんの指示に従い、俺達はシミュレーターの町へ移動する……すげぇこれ触れるよ、立体映像とかじゃないんだ……

俺達は簡単な作戦会議をして位置に就く、今回は初めと言うことで俺はセンターガードとして動く。


『よしっと、皆聞こえる?』

「「「「「はい!」」」」」

『じゃ、さっそくターゲットを出していこうか、まず軽く10体からね』

『動作レベルC、攻撃精度はDってとこですかね?』

『うん』

『わたし達の仕事は、捜索指定ロストロギアの保守管理、その目的の為に私達が戦うことになる相手は……これ!! 』


なのはさんとシャーリーさんの声が聞こえ、目の前にターゲットが10体現れる。

『自立行動型の魔導機械。これは近づくと攻撃してくるタイプね。攻撃は結構鋭いよ!』

シャーリーさんがターゲットについて説明をしてくれる。

魔導機械……確かに見てみると魔力が見える。……あの周りの膜みたいなのはなんだろう?バリア?

『では、第1回模擬戦訓練。ミッション目的、行動するターゲットの破壊又は捕獲。15分以内!』

「「「「「はい!」」」」」

『それではミッション……スタート!』





なのはさんの開始の合図と共に、ターゲットが一斉に動き出す!

同時に、スバルとエリオはターゲットを追い、ティアとキャロは右のビルへ、俺はティア達が狙えない位置をカバーするため左のビルへと登る。

「はぁあああ!!」

スバルが掛け声とともに跳び、リボルバーシュートを放つ!が、ターゲットは素早い動きで散開し攻撃をかわす。

「……え、何これ!動き速!?」

その先に待ち構えていたエリオが、魔力の斬撃を飛ばすが、それも簡単にかわされる。

「だめだ、ふわふわ避けられて……当たらない……」

(前衛二人!分散しすぎ!ちょっとは後ろの事を考えて!)

(攻撃も分散しすぎだ!連携して狙え!)

二人に俺とティアが念話で注意を叫ぶ!

(あ、はい!)

(ごめん!)

ターゲットが先の進路で合流したのを確認し、俺とティアが射撃の態勢に入る!

「キャロ……威力強化お願い!」

「はい!ケリュケイオン!」

≪ブーストアップ・バレットパワー≫

ティアの声に応え、キャロがブースト魔法を発動する!……威力強化がほしいのはむしろこっちだよ……

と思ったらちゃっかりこちらも強化してくれている。キャロ……すげえな、補助魔導師はあんま見たことなかったけど、二人に同時にかけれるのか……

(コウタ!)

ティアから念話が届く、タイミングを指示しろってことか……

俺はすぐ指を一本立て、それを降ろす!

「「シュート!」」

俺とティアの声が重なり、ターゲットに魔法弾が向かう……が!

ティアの攻撃はターゲットに当たる直前でかき消える!……俺の攻撃はサイズが小さくなり……コツンといった感じで弾かれる……今のは……

「バリア!?」

「違います!……フィールド系?」

「魔力が消された!?」

……いや、俺の弾が当たったってことは……魔力を消滅させるようなものじゃないはず……

『そう、ガジェットドローンにはちょっとやっかいな性質があるの。【アンチ・マギリング・フィールド】……通称AMF。効果範囲内の魔力結合を解いて魔法を無効化するから、普通の射撃は通用しない』

……なるほど、俺の弾が消えなかったのは、魔力密度が高く、サイズが小さいためか……

『……それに』

「あ!くそ……こ、この!」

高く跳びあがったターゲットを追うため、スバルがウィングロードを……やばい!

「スバル!冷静になれ!」

俺は即座に魔法の発動の準備をする。ターゲットが、魔力結合を解くってことは……

「スバル!馬鹿!危ない!」

ティアも同じ事に気付いたのか慌ててスバルを止めようとするが……

『……AMFを全開にされると……飛翔や足場作り。移動系魔法の発動も困難になる』

「うぇ!?うわぁわわわ!?!?」

ウィングロードが先端から消え始める!?……間に合えよ……

「きゃぁあああ〜!?」

スバルがウィングロードから落下する瞬間!

「≪ホールディングネット≫!!」

ギリギリ間に合った俺の魔法により、スバルはビルに当たる寸前でネットに収まる。

(大丈夫か!スバル!)

(う、うん……ありがと、コウタ)

まったく……

『まぁ、訓練では皆のデバイスにちょっと細工をして、擬似的に再現しているだけなんだけどね。でも現物からデータを取ってるし、かなり本物に近いよ〜』

シャーリーさんが嬉しそうに説明する。

スバルの無事を確認した俺は、作戦を決めるためティアの居るビルへと移る。

「どうする?ティア」

「う〜ん……キャロ、手持ちの魔法と……フリードの技で、何とか出来そうなのある?」

「……試してみたいのが、いくつか……」

「……あたしもある、コウタは?」

「俺の弾は一応、当たるとこまでは行くみたいだからな……一番威力のあるのをぶつけてみる」

(スバル、エリオ……先行して敵を足止めしてもらいたい。可能なら固めて数を減らしてくれるとありがたい)

方向性の決まったところで、俺は前衛の二人に念話を飛ばす。

(何か手が浮かんだの?)

(それぞれ……ね、いけるかしら?二人とも)

(おっけ〜任せて!)

(や、やってみます!)

(よし、頼んだぞ二人とも……)

念話を切り、俺も準備を開始する。

「……カートリッジ……フルロード」








——訓練スペース・ビル屋上——

ビルの屋上で訓練を見守る二人。

「へぇ……皆よく走りますね」

「危なっかしくってドキドキだけどね……デバイスのデータは採れそう?」

「いいのが採れてます!五機とも良い子に仕上げますよ〜、ただ……」

「うん?」

「スバルとコウタのデバイスについては、難しくて……」

「スバルは先天性の魔法の解析に時間がかかるのはしょうがないとして……コウタのは?」

「オールラウンダーって特性上、どうしても難しくなりますね〜」

苦笑しながらシャーリーが応える。

「なるほど……じゃあコウタに直接相談してみたらどうかな?あの子デバイスについてかなり詳しいし、自分なりに改良案とか考えてるかも?」

「なるほど……それはいい考えですね」













——訓練スペース——

さて、チャージは完了。後はタイミングか……




「いくよ!ストラーダ!カートリッジロード!」

エリオが橋を破壊し2体のターゲットを押しつぶす。だが、残り2体は上空へと逃げる……そこへ上空からスバルが、攻撃する!

「潰れてろ!!」

が、やはり魔力による身体強化も無効化されるためか、大きなダメージはない……

「それなら!」

後ろから迫るターゲットに馬乗りになり、リボルバーナックルを叩きこむ!

「うりゃぁああああ!」

そのままリボルバーナックルの回転力を利用し、拳を深く突き刺し破壊する!……残りは7体!



「連続……行きます!フリード!ブラストフレア!」

フリードが、吐いた炎は2体のターゲットに向かい……高熱によりショートさせ動きを止める!

「我が求めるは、戒める物、捕える物、言の葉に応えよ……鋼鉄の縛鎖……錬鉄召喚!≪アルケミックチェーン≫!」

キャロの詠唱と共に魔法陣から現れた鎖は、動きの止まったターゲット2体と、上空へと逃げようとしたターゲット1体を捕獲する!……残り四体!



俺はキャロの居るビルの真下で、炎から逃れた2体を追う!

「フリード!ターゲットの前方にブラストフレア!」

「キュクイ〜!(了解〜!)」

「えぇぇ!何で言うこと聞くのフリード!?」

俺の指示に、フリードが再び炎を吐く……キャロはフリードが俺の指示に従ったのに驚いている。

進路を炎で塞がれたターゲットは、右手にある一直線の道に逃げる。

「直線状に並んでくれなきゃ……同時破壊できないしな……俺」

俺はターゲットに狙いを定め、2体のターゲットが重なった瞬間!

「≪ソニックバレット≫!!」

ソニックバレット……加速のみを最大まで強化した、現在俺の持つ最高威力の魔法だ。

圧縮された弾は、AMFで多少威力を弱めるも、その圧倒的な弾速で手前のターゲットを貫き、少し遅れて爆発する!……だが、奥に居たターゲットは大きくへこみはしている物の、破壊には至ってない。

「ッチ!……≪ソニックムーブ≫」

舌打ちと共に、へこんだダメージで動きの鈍っているターゲットを逃さないように加速魔法を発動させ、銃剣を前に構え突撃する。

ターゲットの直前でソニックムーブはかき消されるが、加速した銃剣はそのままターゲットを貫く!




銃剣を抜き、ターゲットから離れると図ったようなタイミングでターゲットは爆発する……これで残り2体!




(スバル!私が上から仕留めるから!そのまま追ってて!)

ティアの念話が聞こえ、道路の方に目をやると、残った2体のターゲットに向かってティアが射撃の態勢に入っていた。

「攻撃用の媒体を無効化されないように……膜状のバリアでくるむ!フィールドを突き抜けるまで外殻のバリアがもてば……本命の弾はターゲットに届く!!」

ティアは、生成した魔力弾にさらに上から魔力の膜をかぶせていた……おいおい、それは俺達のランクよりかなり上の魔法だろ……






——訓練スペース・屋上——

「魔法弾!?AMFがある上、コウタみたいに圧縮して密度を高めてるわけでもないのに……」

≪いいえ、通用する方法があります≫

シャーリーの疑問にレイジングハートが応える。

「うん……フィールド系の防御を突き抜ける多重弾殻射撃。……AAランクのスキルなんだけどね」

「AAランク!?」







——訓練スペース——

「固まれ……固まれ……」

ティアの言葉と共に弾を外殻が固め発射の準備が整った!

「≪ヴァリアブルシュート≫!!」

放たれたオレンジ色の魔法弾は、1体ターゲットを貫き……そのまま威力を落とすことなく、最後の一体を破壊する!

(すげぇなティア……よくあんな高度な魔法を……)

(ティア〜ナイスだよ!やったね♪ さっすが〜!)

(……二人とも……うるさい……これぐらい……当然よ……)

相当消耗してるな……まぁでも、これでターゲット全滅完了……だな、訓練は終わりじゃないだろうが……





——その後、少しの休憩をはさみ訓練は夕方まで続いた——
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