緋弾のアリア〜龍偵〜

□第19鱗
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「何!?」

ジャンヌは驚きながらも後退して避けた。

ドォン!

紅い球はジャンヌの隣にあったコンピューターを破壊し、消えた。

「今の、もしかして」

「ああ、審治の龍振爪だ」

神崎とキンジの声が聞こえる。

「チッ、当たってしまえば良かったものを」

俺は龍振爪が作った道を歩きながら言った。そして、先程ジャンヌが立っていた場所まで歩き 、止まる。

「よう、ジャンヌ」

「審治、どういう事だ。手は出さない約束だったはずだ」

ジャンヌは顔を歪めながら俺を見る。

「別に、俺は武偵憲章を守ったまでだ」

「仲間を信じ、仲間を助けよ・・・・か。お前がアリアを仲間と呼ぶとはな」

ん?何か勘違いしてない?

「俺が守っている憲章は6条だ。自ら考え、自ら行動せよ。俺が考えたのはお前がリシュラを 使いこなせているかどうかだ」

「私はもう使いこなせている」

「それは、俺が確認する。来い、ジャンヌ。使いこなせているならば俺を倒せ」

持っていた銃を向ける。その銃は紅く光り始めている。ジャンヌは迷うかのように目を閉じる 。が、すぐに目を開き、剣を構える。

「分かった。今度こそ、お前を越える」

指輪が輝き始める。そして、ジャンヌの剣も光り出す。白く、否、銀色に。

「第一段階はクリアしてるか。じゃあ、行くぞ。龍振爪」

銃口から紅い球が飛び出し、ジャンヌに向かって飛ぶ。

「その程度」

ジャンヌは剣を振り下ろし、龍振爪を斬る。二つに斬られた龍振爪はジャンヌの背後に消えた 。

「お見事。小手先は不要だな」

銃を納め、腰に差していた真滅天を抜く。

「今の私の剣は、最強の剣だ。その刀ごと、斬る!」

切りかかってくるジャンヌの剣。それを刀で受け止める。刃がぶつかり合う。その時、俺の刃 が凍り始めた。

「この剣に触れた物は、凍り付く!」

流石にマズいと思い、神崎の隣まで下がる。

「ちょっと審治!あいつに貸したってどうゆう事よ!説明しなさい!」

「今気にする事じゃねえだろ」

「審治の言う通りだよ、アリア。審治、この氷溶けるか?」

「溶いても良いが、手、出すなよ。お前等を庇ってたら、こっちがやられる」

「何よそれ!まるで私達が足手まといじゃない!」

「そう言ってるんだぞ?本当にホームズの血筋か?」

ジャンヌもこいつ等のことが邪魔のようで、手を出してこない。またギャーギャー言い始めた 神崎を無視して刀にボルカ、火龍の力を流し込む。すると、刀が紅く光り出し、神崎やキンジ の氷が溶ける。

「凄い熱量。私や火野ちゃんとは比べ物にならない」

溶けてきた氷から這いだしながらも、こちらを見つめる白雪さん。

「凍っていたから身体が動かし辛いな。審治、俺達は観戦させて貰う。この状態じゃ出るのは 厳しいからな」

まだ、ヒスってるキンジの言葉は嘘だな。ただ見たいだけだろ。

「邪魔すんなよ。行くぞ、ジャンヌ」

言ったと当時に床を蹴り、斬り掛かる。白き刃と紅い刃がぶつかり合った。





















「キンジ、審治の援護をするわよ」

あたしは小太刀を両手に持って、ジャンヌに奇襲をかけるタイミングを図る。

「ダメだよ、アリア」

隣にいたキンジがあたしの前に手を出し、行く手を阻んだ。

「な、何言ってんのよ!あいつ一人で戦わせるには行かないわ!」

「ダメだよ、アリア。この戦いに人間が関わっちゃダメ」

「白雪の言う通りだ」

「2人とも!何意味分かんないこと言ってんのよ!武偵憲章一条を忘れたの!」

あたしは犬歯を剥き出しながら2人を睨む。白雪は顔を横にふってあたしを見た。

「今手を出せば、審治君はアリアを殺すよ」

あたしは目を開いた。殺す?何で?仲間なのに。理解出来なかった。

「雪ちゃんの言う通りだ。私達が手を出す事は出来ない」

「今の審治にとって、俺達は足手まといでしかない。アリアも解ってるはずだよ」

キンジの言葉にあたしは唇を噛む。その通りだ。今まで戦った事あるけど審治は全く本気じゃ なかった。今が本気かどうかは解らないけど、はっきり言ってあたし達が手に負える分けがな い。でも、

「やらないよりマシよ!」

筋が通ってない事は分かってる。けど、あたしはあいつと肩を並べて戦いたい!あたしはキン ジの手を潜って、審治と斬り合っているジャンヌに駆け出す。次の瞬間、ドゴッ!という鈍い 音が耳に響き、お腹に衝撃が走った。。次の瞬間、あたしの視界は真っ暗になった。
















「キンジ、邪魔するなと言ったはずだ」

気絶している神崎を抱いているキンジに俺は刃先を向ける。

「す、済まん。今のはアリアが独断でやったことだ」

「お前もパートナーならちゃんと繋いでおけ。次、邪魔したら、殺すぞ?」

本気だ。それはキンジ本人が分かっているだろう。俺はジャンヌに振り返った。その顔には疲 れが浮かんでいる。

「ジャンヌ、そろそろ出せよ。剣に力を込めるだけじゃ俺は倒せないぞ?」

「はぁ、はぁ。分かっている」

また、指輪が輝き始める。今度はジャンヌの周囲にダイヤモンドダストが大量に浮かび上がる 。それは、雪崩のように、俺に向かってきた。

「ふむ。まあまあ」

俺は銃を向け、龍振爪を放つ。それは雪崩にぶつかり、相殺する。

「まだまだ!」

今度は床から氷が出て来て、俺に纏まり付く。キンジ達は首を残していたが、今回は全体を凍 らされた。

「ど、どうだ?」

肩で息をするジャンヌ。まあ、龍の力が身体を通る時点で多大な体力を消耗するからな。仕方 ないだろ。俺は刀の温度を上げ、氷を溶かしていく。

「ジャンヌ、この程度か?お前ならもっと出来ると期待していたんだがな」

「ま、まだだ!私はお前を絶対に越えている!」

今度も雪崩か。学べよ。

「お前の氷はもう効かない。すぐ溶かすからな」

「溶かせる物なら溶かしてみろ!」

何かヤケクソ気味に力を使い始めたジャンヌは、雪崩をこっちに放つ。俺はまた龍振爪を放っ た。

「何?」

今度は相殺できず、雪崩に飲まれていった。

「どうだ!」

「甘い」

それだけ言うと、俺は手を床に置き、雪崩に飲まれた。



















「や、やったか?」

目の前にはスキー場の様に白銀の世界。その中に審治が埋まってるはずだ。白雪なども巻き込 んだが、自業自得だろう。逃げなかったのが悪い。

「やった・・・・・か。勝てた」

安心して、腰が抜けた。床の上にへなへなと座る。これほどの力を使うとは思いもしなかった 。立つことも出来ない。

「勝った。私は審治に勝てたんだ」

自分に言い聞かせる様に独り言を言う。自然と笑みが出てくる。

「さて、埋めてしまった審治を助けるか」

そして、言うんだ。小さい頃から心に仕舞っていた気持ちを。考えただけで少し顔が赤くなる 。その時、

「残念だけど、まだ終わってないぞ。ジャンヌ」

雪の中からの声にはっ、と顔を上げる。

「ど、どこだ!?」

それに応えるかのように、さっき審治が立っていた場所の雪が動いている。まるで、ドームの 屋根が開くかのように。中から審治が無傷で出てくる。

審治の後方にも、遠山達が驚きの表情で、雪の中から同じように現れる。

「な、何をした?」

剣を構える。

「地龍の力さ。床のコンクリをドーム状にして、雪崩から身を守ったんだ」

その言葉に愕然とする。あいつの刀はまだ紅いまま。つまりあいつは火龍と地龍の力を一編に 使ったと言うことだ。私はたった一体の力で立てる事すらまま等無い状態だというのに、あい つは息一つ乱れていない。越えることなど不可能。

「イヤだ、絶対に越える。絶対、絶対」

「なら強くなれ、ジャンヌ」

強く。審治の言葉が頭に響く。

(強く。強く、強くなる。強くなりたい!審治と同じ力を!)

また、指輪が輝く。

「し、審治!また来るぞ!」

遠山はこれを先の雪崩と思ったようで、白雪達と一緒に隠れる。

「いや、違う!ジャンヌ、指輪を外せ!」

「え?」

必死な審治の声を聞き、何でと思ったが、次の瞬間、私は闇に堕ちた。
 

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