緋弾のアリア〜龍偵〜

□第16鱗
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ここはアドシアードの準備委員会の会議室。俺と火 野、キンジは末席に座っている。白雪さんの警護を キンジがやるのだがどうせなら一気にやった方が良 いという神崎の提案でこうなった。白雪さんは会議 中。

ちなみに神崎とは食堂以来話していない。まあ、こ っちから話すことはねえがな。

「星伽さんもぜひ、せめて閉会式のアル=カタには 出ていきたいわ」

「ええ。枠もちゃんと空けてあります」

「それなら火野さんは?可愛いし、体型もバッチリ だよ?」

「二人とも美人だし、報道陣も好印象を持つと思い ます」

「振り付けを考えたの、二人ですし、チアは自分で も出来ますよね?」

おい、何故こっちを見るんだ?火野。自分で決めろ 。

「は、はい。でも、私はその・・・・・あくまで裏 方に貢献させてください」

「わ、私も遠慮します。そういうのは苦手ですし」

嘘付け。戦いの時、踊るように戦うくせに。

「では今日はもう時間ですし、これで会議を終了し たいと思います」

白雪さんが綺麗な発音で宣言した。こうゆう時って 頼もしく感じるな。刀を振り回しながら部屋をめち ゃくちゃにしなかったらもっと良いのに。

っと着信か。会議室をでて電話にでる。シャーロッ クからだ。

「また依頼か?」

『いや、警告だよ。世界中の結社が君を狙い始めた よ。その龍の力をね』

「ああ、つい先日ワトソンという奴が来たよ」

『そうか。その子はリバティー・メイソンというイ ギリスの結社の大使だろう。それで、君はどうした んだい?』

「ロクシの指輪に触れさせて、諦めて貰った。あん たも昔見ただろ」

『ああ、あれは僕の中では上位に入るほど恐ろしい 物だよ。あの日から二日は眠れなかったしね。寝た らまたあれが見えるから』

「え、それマジ?今度ワトソンに会ったら謝っとか ないと」

『それより、気を付けとかないといけないよ。龍は 色金よりも世界の覇者になれる近道なんだから。そ れで提案だよ。君は龍を指輪に移したよね』

「ああ。・・・・・・・元に戻せってか?」

『その通りだよ。指輪のままじゃ本来の力を出すこ とが出来ない。君も分かってるはずだよ。刀や銃に 力を通すときも違和感が有るはずだからね』

シャーロックに言う通りだ。俺は龍の力を使うとき 、自分の中から出し、道具に込め、使う。が、指輪 に移したために中に有るのは龍振爪一発分だけ。だ から指輪を填めて使うのが普通だ。だが破壊衝動が なくなる代わり、いつもより遅くなったり、コント ロールが上手く行かない時がある。指輪から力を出 し、体に通し、道具に込める。なので、通常より威 力が低くなったり、強すぎたりするときがある。

「戻すのは良いが、あの衝動を何とかしねえと」

「それについては考えが有るよ。審治君、飛闇一族 の力で馴れるんだよ」

「おい、あれは駄目だろ。あれは破壊衝動とは別だ ぞ」

『似たようなものだよ。君なら行けるさ。それに戻 してからは一時、龍なしで戦うしかないんだから、 その練習だよ。戻す時はまた連絡する。では』

ブツッと切れた携帯をもどす。

「やっぱあいつの曾祖父だな」

(つっても、あの力をそうあっさり使う訳には行か ない。ったく、簡単に行ってくれるぜ)

その時会議室から生徒会員が出て来た。帰るようだ な。

「あ、飛闇先輩!」

「先輩!一緒に台場に行きましょう!」

出て来た会員に囲まれた。

「いや、遠慮しとく。これから用事あるし」

てゆうか女子がいるなか男子一人って無理有るだろ 。

「え〜!良いじゃないですか!」

「じゃあ、神崎先輩との関係について教えて下さい !」

「関係?ただのクラスメートだが」

奴隷とかあんなのあいつが言ってるだけだし。

「本当ですか?」

「本当。嘘付く気はない」

それで安心したのか俺を解放して、帰って行った。





















その後家に帰った俺ら。飯も食い終わり、夜。火野 は武器の整理、白雪さんは鬼道術の練習で部屋にい る。俺も自分の部屋。キンジは風呂だ。

「というわけで俺の中に戻る事になる」

机の上には四つの指輪。

【私たちは構わない】ロクシ

【どちらにいてもかわらん】ボルカ

【リシュラも同じだろう】アクリ

【あいつはまだ見つかんねえのか?】フィダロ

「手掛かりすらない。あいつがいねえと戻せないん だよなあ」

【飽きたらすぐ戻るだろうから待っとくしかない】 アクリ

【審治は私たちの力無しで戦う時に備えて置け】ボ ルカ

「了解。お前ら、そろそろ寝な」

指輪を箱に納め、廊下にでる。水を飲もうと台所に 向かうと居間から白雪さんに呼び止められた。テー ブルにカードが星形に並んでいる。占いってやつか な?

「審治君、ちょっと良い?」

「いいですけど、何か?」

「今ね、勝手にしちゃ駄目って分かってるんだけど 、審治君を占ったの」

「分かってるなら止めましょう。ま、もう遅いです から良いです。結果は?」

「近い内に捜し物が見つかるって」

「本当ですか?良かった」

おそらくリシュラの事だろう。本場の巫女さんだか ら信用性がある。

「あとね・・・・・・いろんな者から狙われるって 」

シャーロックが言った事と一緒だな。

「審治君。心当たり有る?」

「まあ、一応」

「あの龍達だよね。あれは世界の中で一番強い。だ から世界中が狙ってくるよ」

「だろうね。でも盗られはしないよ」

「でも危険だよ。世界には強い人が沢山いる。それ を一人で相手するなんて」

お見通しってわけか。

「これは俺の問題。キンジや火野、白雪さん、貴女 達を巻き込ませるわけには行かない。心配してくれ てありがとう。俺はもう寝るよ。おやすみ」

まだ何か言いたそうな白雪さんを置いて自室に行き 、寝る。寝室のベットは空いてないので自分の部屋で寝ている。





















翌日、キンジが風邪を引いた。俺はその看病の為、 学校をサボった。火野や白雪さんもサボろうとした が説得して何とか登校させた。

「たくっ、お前は単位足りてねえんだろ。なんで風 邪を引くんだよ」

「仕方ないだろ。風呂に上がったばっかだったし疲 れが溜まっていたんだからな」

昨日、俺が寝た後、風呂から上がったキンジが着替 えて上半身裸の状態で白雪さんの服を無理矢理脱が そうとしている所に神崎が帰ってきて、東京湾に落 とされたらしい。

「ちげえよ!白雪が突然入ってきて服を脱ぎ始めた んだ!それを俺は止めようと」

「これを聞いたらそうとしか思えねえよ」

携帯を取り出し、有る動画を再生する。音声だけだ が。

ピッ

『キンちゃんやめて、放して!』

嫌がる白雪さんの声。

『おとなしくしろ!』

強猥者のゲスな声。ピッ

「ちなみにこの音声は火野が盗聴した物でございま す」

「誤解だー!!ゴフッ!?」

叫ぶキンジの腹を殴って黙らせる。指輪付けるとメ リケン代わりになるんだよね。その後、俺はゲーム をして暇つぶしをしていった。

学校が昼休みになる頃、

「見舞いか?神崎」

寝室のドアを閉めようとしている神崎に居間のドア に寄りかかりながら聞く。コッソリ入ってきたかも しれんがバレバレだ。

「そ、そんなんじゃないわよ!あたしは別にバカキ ンジに薬を届けに来た訳じゃないから!忘れ物取り に来ただけよ!」

顔を真っ赤にしながら本音を喋る神崎。

「そ、だったら学校行きな」

居間に戻ろうとすると、

「審治、アリアって呼びなさいよ。よそよそしいわ よ」

「お前さ、嫌いって言われといてそれ言うか?」

振り返り、あきれ顔で聞く。

「貴族はそんなもの引っ張らないわ」

「貴族は盗聴したり、ベランダから侵入したりする のか?」

「うるさい!あんたはあたしのドレイよ!主人の言 うことを聞きなさい!」

「俺は弱い奴に従わないとも言ったはずだ」

「それは・・・・・・・・」

何も言い返せない神崎。そうだろうな。なんせ、俺 より弱いんだし。

「神崎、お前『アバドン』を知ってるか?」

「当たり前よ。ママの204年はそいつの物よ!絶 対捕まえてやるんだから」

「そうか。じゃあ、もし俺がアバドンだったらどう する」

「・・・・・・・・それ、冗談?」

訝しげに見てくる。

「答えな。どうする?」

「・・・・・・捕まえるわ。絶対に、どんな手を使 っても!」

「そうか。それなら頑張って強くなれよ」

そのまま居間に戻る。あいつは冗談だと思うだろう 。なんせあいつだからな。だがもし、これがバレた ら、どうすんだ?シャーロック。

俺の好きなようにしろと言われたら俺は・・・・・ ・・・変わらないぞ?

ずっとな・・・・・・















体育館みたいな強襲科施設の中

俺はキンジがDC59で軽音の練習を見ている。神 崎に無理矢理アル=カタ音楽隊に入れられたらしい 。

「I’d like to thank the person・・・・・」

小声で歌っているキンジは中学の頃、変装潜入で少 し習ったらしい。目は女子の方だがな。嫌悪感丸出 しだ。

「はい、じゃあ今日はここまでにしますねー。お疲 れさまでしたー」

白雪さんの言葉に女子は散らばっていった。キンジ は安心したようだな。けど女ぐさいとこは嫌みたい でさっさと片づけて屋上に行った。

昨日ジャンヌに聞いたところによると、あの風呂の 事はジャンヌが仕掛けたらしい。悪趣味だなって言 ったら無言で切られた。怒ったのかな?

「審治。考え事か?」

気付いたら目の前に火野がいた。

「お疲れさん。ほいタオル。汗掻いたろ」

問いに答えずタオルを差し出す。礼を言いながらタ オルで汗を拭く火野はチアの指導を白雪さんと行っ ている。

「そういや、神崎は?あいつもチアだろ」

「アリアならさっき怒った顔で屋上に行ったぞ」

「キンジを締めに行ったな。あれ?火野、いつから 神崎をアリアって呼ぶようになったんだ?」

「ん?ああ、前にアリアと呼べって言われてな。別 に断る理由も無かったし」

納得。それより、キンジが心配だな。神崎を怒らせ なければジャンヌの思い通りだからな。

「俺も屋上に行ってみる」

「私も行く。どうなるか気になるし」

そう行って着いてくる火野と一緒に屋上に向かった 。そこでは案の定キンジと神崎が睨み合っていた。 あ〜あ、駄目だこりゃあ。

「この際だから言わせてもらうけどな、パートナー の方針だから付き合ってやってたけど真剣白刃取り の訓練なんて、もうやめだ!あんなもん、達人技だ ろ!そう易々とできるもんじゃねーんだよ!」

ナイフで弾丸を切るお前も十分達人だぞ。まぁ、俺 も人の事言えないけど。

「だめよ!続けるわ!ウワサでは魔剣は鋼をも斬る 剣を持ってるって言われてる、だとしたら防御方法 は白刃取りしかないのよ!いざ白雪が襲われた時、 あんたを覚醒させて」

「いざって、ここ数日白雪に張り付いてたけど何も 危ないことなんか無かっただろ!魔剣なんていねえ んだよ!」

キンジにしてみれば、成りたくもないHSSの鍵で ある女子が2人も一気に増えたんだ。迷惑以外にな いし、ストレスも溜まる。風邪になったのも、元は 神崎がバカなせいだからな。そりゃ切れるわな。

「火野、行くぞ。これ以上聞く気はない」

「あ、ああ」

火野を連れて階段を降りていく。その途中、キンジ の声が聞こえた。

「お前はズレてんだよ!」

あいつ、言っちまったか。みんな思ったことさ。た った一人で突き進んで行く神崎。あれについていけ る奴はそういない。とゆうかいないだろ。ヒスッた キンジ以外はな。神崎は直感が異様に特化している 。ヒスッたキンジがついていける奴

だと直感で分かったんだ。けど、論理的に言えない 。普通に頼めばいいのに。論理的に説明できないコ ンプレックスがあいつをあんな風にしたのかもな。

(今回は負けるな。どうする?シャーロック)
 

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