緋弾のアリア〜龍偵〜

□第13鱗
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目が覚めると、病院の天井が見えた。その瞬間 、ゾクリとした。

隣から凄まじい殺気を感じ、見ると、レキと火 野が睨み合っていた。

お互い武器を持ちながら。

「・・・・・寝よ」

そしてまた眠りにつくのだった・・・・・・・ らいいな〜。

【んなわけねえだろ】フィダロ

【起きろ】アクリ

【そして止めてくれ】ロクシ

「へいへい」

隣の果物と一緒に置かれている箱の声で渋々起 きあがる。

「起きたか、審治!」

俺に気付いて、殺気と武器を納める2人。

「20時間は眠ってましたよ」

「そんなに?まあ結構力使ったし・・・・・そ の前にあんたら何やってたの?」

「「気にするな(しないでください)」」

「あぁ、そう。分かった。そういやキンジ達は ?」

「2人とも無事です。アリアさんは明日、イギ リスに帰るそうです」

「パートナーを見つけられ無かったんだから当 然か」

「お前はどうするのだ?明日退院できると医者 は言っていたぞ」

「どうするも何も、俺に出来ることは無いよ。 キンジ次第さ」

「そうか。遠山はどうすると思う?」

「さあ、あいつは来年転校したいと思ってる。 けどお人好しだしな。わかんねえ」

「そうか」

「もう一眠りするわ。2人とも今日はもう遅い から帰んな」

「分かった」

「明日、また来ます」

そう言って出て行く2人。火花を散らすな。

「さて、キンジの選択次第だな。ここに残れる かどうか」

天井見ながら考える。もし、神崎があっちに行 けば、シャーロックから指示が来る

ことになってる。

(ま、いっか。寝よ)












翌日。夢の中で龍達に言われ、指輪を磨こうと 寝ぼけ眼で箱を探ったら、

ふにゅ

と何か柔らかい感触がした。目を向けると、レ キがイスに座って俺を見ていた。

その時、状況を判断した。俺はレキの胸を触れ ているんだと。

「ご、ごめん!寝ぼけてて!本当は箱を取ろう と!」

慌てて手を戻しながら謝る。だがレキは無表情 のまま首を少し傾げるだけだった。

(責められるよりきついよ、これ)

慌てて話題を変える。

「そ、そういえば、何でここに?」

「風に命じられてきました。審治さんの傍に行 けと」

「風?誰かの名称か?」

「いいえ、風は風です」

(駄目だ。会話にならん。とゆうか風さん、苛 めか?こうなるの分かってたの?)

「審治さん、どうぞ」

と言われて見ると、箱を差し出していた。それ を受け取る。

「あ、ありがとう、レキ」

「いいえ。それで何するんですか?」

あれ?レキってこういうの聞いてくるキャラだ っけ?

「磨くんだよ。たまに磨かないとこいつ等がう るさいから」

「そうですか」

箱から指輪を取り出し、専用の布巾で磨き始め る。それをレキはじっと見つめ続けてくる。凄 くやりづらい。

「レキって何処で生まれたの?」

取り敢えず会話。じゃないと身が保たない。

「モンゴルです」

「え?外国人なの?」

コクリと頷くレキ。

【何を驚いている。貴様は一度会ってるんだぞ 。モンゴルでな】ロクシ

「え!?マジ!?」

布で拭いていた指輪を見る。

【忘れたのか。まだ旅を始めたばっかの頃、お 前は一週間で日本に飽きて外国に行ったんだぞ 】ボルカ

「そこは覚えてる。たしか飛行機の屋根に跳び 乗って行ったんだっけ」

あ〜、懐かしい。

【そうだ。その後、いろんな国を回って行き、 その時モンゴルにも寄ったんだぞ。まあ、貴様 は大怪我をしていて意識が曖昧だったからな】 アクリ

「あれ? 何で怪我したんだ? 何故か怪我し て、どっかの草原でぶっ倒れていて、そのまま 馬に轢かれて・・・・・草原の前後の記憶が跳 んでる?」

記憶がなくなっていることに愕然としていたら 、レキが

「轢いたのは私です」

「え?あれってレキなの?酷くね?」

そのせいで俺、死にかけたんだけど。

「草と同化していたので分かりませんでした」

ああ、そういや敵襲対策としてそうしたっけ。 逆に傷を負ったけど。

「その後は記憶にないんですけど」

「私が看病してました。風に言われて」

「ああ、なるほど」

【朦朧とした意識の中、覚えていたのはそれぐ らいか】フィダロ

【その後、長とも話したんだぞ】ロクシ

「知らねえぞ、んなこと。内容は?」

【【【【・・・・・・・・・】】】】

おい、無視か、こら。

「レキ、知ってるか?」

「いいえ」

首を横に振るその姿は、演技には見えない。ど うやら本当に知らないようだ。

「ま、いずれ思い出すだろ」

シャーロックに風さんの事聞いてみよっと思っ たところで、レキが立ち上がる。

「学校?行ってらっしゃい」

「行ってきます」














月が昇り始めた頃、無事退院した。聞いた所に よると龍は見間違いとして処分された。無理あ んだろっと思ったが、政府が手を回したそうだ 。そして俺はシャーロックに電話するために女 子寮の下の温室に向かった。

「んじゃまあ、話して貰おうかな」

電話のボタンを押す、その時、上から

「俺がBGMぐらいにはなってやる!!」

というキンジの声が聞こえ、上を見上げる。っ と上空からキンジと神崎が抱き合いながら落ち てきた。

「は?」

呆けながら落下してくるのを眺める。

「審治!何とかしてくれ!」

何とかって言われても

「俺、今、力使えないから」

「何でよ!きゃっ!」

ボスッとビニールハウスの屋根に突っ込み、ビ ニールを突き破り、温室内に落っこちる。

「何で空から降ってくるんだよ。しかも、ヘリ が探してるし」

見上げれば、ヘリがこちらにライトを向けてい る。まぶしいな。

「いってぇ」

腰を打ったようでさすりながら起きあがるキン ジ。

「ば、バカキンジ!バカ審治!」

目を回しながらよろよろと起きあがる神崎。

「神崎、残るんだ」

てか俺もかよ。

「キンジ」

「あんたには何かをスイッチにして、急激に高 まる不思議な力がある」

ヒステリアスモードのことか?

「それが何なのか分からない。あんたもそれを 自分では制御できてない」

出来るって事はいつでも興奮できるってことだ よな。変態だろ、それ。

「でもね、今、あたし思いついたの。それなら 普段からそれを出せるようにあんたを調教して やればいいのよ!簡単な事よ!ね!?」

「ちょっ!それは物理的に可能かもしれんが、 論理的に無理だ!」

「男が二言するんじゃないわよ!」

「一言もしてねえと思うぞ」

「うるさいうるさい!あたしはあんた達をパー トナーにして、曾お爺様みたいに立派な『H』 になるの!そう決めたんだから!」

「何気に俺も入ってるし」

(しかもそれって俺と対等に戦えるようになる ってことなんだけど)

「だからその『H』ってなんだよ!」

「まだ分かってなかったの!?信じられない! バカバカ!どバカ!」

(うるせー!)

「あたしの名前は!神崎 ホームズ アリア! シャーロック・ホームズ4世よ!で、あんたち はあたしのパートナー、J・H・ワトソンにな ったのよ!」

「ワトソンは一人で十分だろ!」

「だよなキンジ。がんばれよ」

「お、おい!」

「2人とも逃がさないわよ!逃げたら、風穴あ けるわよ!」

(・・・・ぶっちゃけ、やってみろって感じだな )

その後、2人は部屋に向かった。俺は電話する ために残った。

「おっす、知ってると思うけど神崎はこっちに 残ったぞ」

『そうかい、推理していたが聞くとほっとする よ』

「んでさ、あいつ俺も一緒にワトソンにすると か言ってんだけど。俺、自分より弱い奴の下に 付くきは無いんだけど。」

「君より強い人なんているのかな?」

「いるだろ。事実やられたことあるし」

「それは、不意打ちで、しかも多数相手にした ときだね」

「それも一種の戦略だろ」

「まあ、いいさ。とりあえず一時見守ろうじゃ ないか」

「分かった。あ!そうそう。『風』って奴知って る?」

「風?」

「そ、レキっていう女子生徒が言ってたんだけ ど」

「その子、出身は?」

「え?モンゴルだって」

「・・・・・そうか。悪いけど今は言えないん だ」

「分かった。あんたの事だから何か考えがある んだろ。じゃな」

(風か。そしてボルカ達が隠してる、長との会 話。何かあるな)

と、考えながら自分の部屋に戻る途中、前に火 野がいることに気付いた。

「火野!どうしたんだ?ここは男子寮だぞ」

俺の声に振り返る火野。

「審治、実はな。雪ちゃんがいないのだ。恐山 から帰ってきたのだが部屋にいなくてな」

「それで飯が無く、俺の所にってわけね」

「その通り!話が早くて助かる」

「ま、いいけどよ。そういや神崎は残るらしい ぜ。キンジを調教するとか言って」

「ちょ、調教」

調教と聞いて顔を真っ赤にする火野。

「どうした?」

「な、何でもない!ほら!部屋についた・・・ ・ぞ?」

先に走って玄関に立った火野の顔が驚きに変わ っていき、どうした?っと聞こうとした俺もそ れを見て、やめる。それは、一刀両断された玄関の防弾ドアだった。
 

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