緋弾のアリア〜龍偵〜

□第12鱗
1ページ/2ページ

「待てこら」

銃声を聞いて部屋を出ようとする火野の手を掴 み無理矢理座らせる。

「いきなり出んな。ピンチになったら助けるは ずだぞ」

「だが!」

俺を振りほどこうとするので力を強める

「だがじゃない。ほら、これ付けろ」

無理矢理、インカムを渡す。火野も渋々付ける 。聞こえてきたのは

『動くな!』

キンジの声だ。

『Attention Please.でやが ります』

「武偵殺しか?」

「多分な」

「ん?何か転がってる音がする」

「だな」

『キンジっ!』

神崎の悲鳴だ

「無事合流したか」

『みんな部屋に戻れ!ドアを閉めろ!』

「恐らく、ガス缶だな」

「毒だったらどうするんだ!」

「大丈夫だよ。今更、即死させないさ。・・・ うお!?」

突如、飛行機が揺れた。どっかに爆弾を爆発さ せたのか?

「・・・・爆弾を解除しに行くぞ」

「ピンチになったらじゃないのか?」

「俺らの命が関わる爆弾だけだ。気を逸らすた めのやつは放置だ」

「分かった」

部屋を出る。廊下には誰もいない。白いガスが あるだけだ。

「無害だからきにすんな」

外に出るために地龍のフィダロの力で壁を通り 抜ける。外は台風で雷が鳴っている強風が入り 込み髪を動かす。

「相変わらず便利だな」

「まあな。俺は右、火野は左だ」

「分かった」

屋根に登り翼の上を歩く。調べたが内と外、ど ちらのエンジンにも爆弾はついていなかった。 屋根に戻って火野に聞いたが、火野の方にも付 けられて無かった。

「どういうことだ?」

「爆弾じゃないみたいだな。戻るぞ」

中に戻る。

「思ったんだが、この飛行機。本当にロンドン に向かってるのか?」

「いざの時、脱出するためだろ。うお!?」

また揺れた。

「神崎たちはどうなったかな」

「さあな」

バババババ!

すぐ近くから銃声が聞こえてきた。

「始まったか」

「近くに行こう」

バーの職員が着替えるための更衣室に入る。そ こには麻酔で気絶しているオッサンがいた。職 員だろう。無視して俺たちが入ってきた扉の別 にカーテンで閉ざされている場所がある。そこ からカウンターに繋がってるみたいだ。

「カーテンの隙間から見るか」

覗くと、理子と神崎が近接銃撃戦を行っていた 。後ろにはキンジがいた。

「わ〜、良いバトルじゃん」

「だが、神崎のガバメントは最大8発。それが 二丁で16だ。対する峰は16発のワルサーP 99を二丁の32だ。神崎の方が分が悪い」

「だな。キンジはあの中に入れそうもないし。 こりゃ負けだね〜」

2人が放つ銃弾は、相手に当たらず壁や床に撃 ち込まれていく。

「今なら理子を打ち取れるぞ」

そう言って取り出したのが、忍者が使うクナイ だ。

「だめだ。あいつらが負けた場合だろ。てかお 前はなんでクナイなんだよ」

「私は銃を持ってない。持ってるのはこれと手 裏剣。あと日本刀と爆包、鎖鎌、毒針、ロープ だ。」

「何気に恐ろしいもん持ってんじゃねえよ。何 で毒針が必要なんだよ」

「いつも持ってる」

(怒らしたら毒針が飛んでくるかもな)

と冷や汗掻いてたら、神崎が弾切れを起こした 。だがその瞬間、アリアは両脇で理子の両腕を 抱えた。

「格闘では神崎の方が分があるようだな」

「だな。理子が捕まって終わりか」

俺の言葉通り、キンジがバタフライ・ナイフを 開き、近づこうとする。

「奇遇だよね、アリア」

何故か落ち着いてる理子。

「理子と色んなところが似てる。家系、キュー トな姿、そして二つ名」

後ろから見る俺たちはキンジが気付く前にみた 。ゴーゴンの様に理子の髪が動き、背後に隠し てるナイフを二本のテールが一本づつ握るのを 。

「理子も持ってるんだよ。『双剣双銃の理子』 。でもね、お前は本物じゃない。お前はまだ知 らない。この力を!」

神崎に襲いかかった。一撃目は避けたが、もう 一本に側頭部を斬られた。驚いて飛び出そうと する火野を後ろから羽交い締めにする。

「はなむぐっ!?わむへ!」

叫ぼうとしたので口を手で抑える。

「アリア、アリア!」

見ると血を流しながらも拳銃を放さない神崎を お姫様抱っこで連れて走っていくキンジが見え た。その後ろを理子が歩きながら追う。

「仕方ねえ。時間稼ぎだ」

そう言って、火野を放す。

「まて!峰!」

カウンターを飛び越え、理子の背中に呼び掛け る火野。後ろを振り向いた理子。

「あれ〜?火野ちゃん!どうしたのかな〜」

「神崎を遠山が解放するまで相手をさせて貰う 。スィートクラスの礼としてあくまで時間稼ぎ だけだ」

完全に戦闘モードの火野。その後ろ姿をカウン ターの席に座りながら見る。

「シー君〜。これどうゆうこと〜?」

首を傾げながら俺に疑問をぶつけてくる。

「火野曰く、武偵憲章第一章を尊重したいらし い。お前が武偵をつれてこいって言ったんだか らな。後悔すんなよ」

「あは!火野ちゃん、私に勝てると思ってるの ?」

「試してみろ!」

いきなりクナイを飛ばす火野。それをツインの ナイフではじく理子。

『戻ってこい。アリア!』(ラッツォを使った か)

俺はインカムからキンジ達の状況を聞きながら 戦いを見る。今度は手裏剣とクナイを投げる。 しかし全てはじかれる。

遠距離は無駄だと思い日本刀を背から取り出し 切りかかる。理子は刀を二本のナイフで受け止 め腹部を狙って発砲する。右手を刀から放しし ゃがみ込み、掌底を腹部に放つ。理子は後ろに 跳び、ダメージを半減する。

「くふっ!やるね〜火野ちゃん。さっすが風魔 一族、壱の天才ちゃんだね〜」

まだまだ余裕の顔だ。

「私は家出した身だ。そうゆう風に言わないで 貰いたいな」

『キ、キンジ!またあんたの仕業ね!こ・・・ こんな胸!なんで見たがるのよ!イヤミのつも りか!小さいからか!いつまで!たっても!成 長しないからか!どうせ!慎重だって!万年1 42センチよっ!』

(薬効きすぎだろ)

『ぎゃー!!』

「うるさ!?」

インカムを放し、耳を塞ぐ。その様子を見た理 子が気付いたらしい。

「シー君盗聴?駄目だよ〜?人の性行動を聞い ちゃ」

「んなことするか。介抱すんの待ってんだよ」

「ふ〜ん。そんなこと言って〜。理子とやると き、と〜っても激しかったくせに〜」

「なっ!?」

意味不明なことを言う理子と顔を赤くする火野 を放置してインカムを付け直す。

『あたし覚えてる!あんたは、あたしに』

また堪えれず放す。いちいち音量でけえなあ

「どうした?」

理子と近距離戦をしながら話しかける火野。お 前、余裕だな。

「気にすんな」

また付ける。が、何も聞こえない。故障したの かと思ったが、ぷは!っという息継ぎが聞こえ た。何やってんだ?

『アリア・・・許してくれ。こうするしか、な かった』

(この声、成ってるな。ってことはさっきの沈 黙はキスだったのか)

「こいつら、人が頑張って時間稼ぎしてるとき に何やってんだ?」

「私がな!っで!?何したんだ!?」

「キス」

「は!?」

俺の言葉に唖然として一瞬動きが止まる火野。 そこに理子が斬ろうとした。流石にやばかった ので自分の銃で理子を撃つ。サイレンサー付き で2発。それに気付いた理子が斬るのを諦め横 に跳ぶ。一発は向こうの壁に。もう一発は屋根 に。流石、セレブ御用達の機体だ。防弾制バッ チリだ。

「危ないよ、シー君。今、理子の頭狙ったでし ょ。しかも一発は跳弾で」

「さすがに避けるか。まあ、銃撃戦じゃいける んだけどな」

「すまない、審治」

「気にすんな。まあ、俺も悪かったし」

「そうだぞ。お前が突然キスなどというから」

「あれれ?2人ってキスしたことないの〜?」

「どうでもいいだろ。それより、そろそろいい かな。火野、そこまでにしな」

「分かった」

刀を納め、こちらにくる。

「あれ〜?もう終わり?理子ともっと遊ぼうよ 」

「そんな暇ない。お前も自分の獲物のとこ行き な。キンジたちは自分達の部屋にいる。じゃあ な、頑張れよ。火野!」

俺の声で煙玉をだし、地面に打ち付けて煙を出 す。

煙が晴れるとそこには俺らの姿は居なかった。

「ま、いっか。私はオルメスを倒し、自由を手 に入れる!」

そう言って理子はキンジが逃げた方の階段に向 かう。最後の台詞が気になったが取り敢えず俺 らも自分の部屋に戻る。

「いや〜。お疲れさん」

「見てた方は気楽でいいな」

座席に座りながら労う。それに髪を縛っていた ゴムを解き、タオルで汗を拭きながら答える火 野。

「汗掻いたならシャワー浴びれば?服は洗濯機 にぶち込んでおけばしとくよ」

「そうか、頼む。」

そう言って、シャワー室に入る火野。片方の耳 で衣擦れする音を聞きながらもう片方の耳でイ ンカムから入る音を聞く。まだ理子は付いてな いらしい。

余裕のつもりで歩いてるんのか?疑問に思いな がらも洗濯機を開始する。洗濯機は時間が掛か りそうなので、水龍の力で一気にやることにし た。

「さ、始めるか」

【龍の力を日常生活で使うか?普通】アクリ

「まあ、いいじゃん」

ポケットから声が聞こえるが適当に流す。洗濯 機に水を入れ、洗剤を入れ、水を一気にかき混 ぜる。すっげー速さで。1分後には、きれいに なっている。それを乾燥機に入れる。

「火野〜。乾燥機に入れといたから〜・・・・ うお!?」

「また揺れたな。大丈夫か?」

ちなみに乾燥機のスイッチは入れてない。火龍 の力を使って水分を蒸発させていたから、もう 完璧に乾いている。座席に戻り、インカムを付 ける。

『峰・理子・リュパン4世・・・・』

『殺人未遂の現行犯で逮捕するわ!』

何かもうクライマックスになっていた。その時 、タオルで髪を拭きながら乾いた制服を着た火 野が出てきた。

「どうだ?」

「もう、終わりっぽい」

言われて急いでインカムを付ける火野。

『ぶわぁーか』

理子の憎々しげな声が聞こえた。

『やめろ!何してる!』

キンジの鋭い声。その瞬間また機体が動いた。 今度は急降下している。

「どうしたんだ?」

「多分、理子が操縦席に遠隔操縦の仕掛けをし ていたんだな。あの髪でそれを操って、自分が 有利になるように揺らしていたんだろう」

「なるほど。で、どうする?」

「待っとこう。キンジが何とかするさ。ヒスッ てるんだし、大丈夫だろ」

そう言って、インカムを外す。ついでに火野の もな。

「いいのか?」

「良いんだよ。用があるなら電話してくるだろ う」

その5分後、

ドドオオオオオオオオオンッッッ!!

今までで、一番強い衝撃が来た。

「何事だ!?」

驚いてベットから飛び上がる火野。お前も結構 ゆっくりしてんじゃん。

ブーブー

マナーモードにしていた俺の携帯がなる。

「はい」

「やっほう、シー君!今の衝撃はね、イー・ウ ーが放ったミサイルだよ〜」

「わざわざどうも。負け犬ちゃん」

そのまま切る。

「理子か?」

「ああ、今のはイー・ウーからのミサイルが当 たった物らしい」

「な!?」

俺は大して驚きはしなかった。それよりも今の でどうなったかだな。

「取り敢えず、操縦室に行って何とかするか。 多分キンジが居るだろうし」

「わかった」













操縦室に着き中を見ると、キンジが衛生電話で 誰かに電話してるところだった。神崎は、操縦 桿を握っている。来る途中に機体が平行になっ たのは神崎のおかげらしい。火野に気配を消す ようにマバタキ信号を送り自分も消す。

「誰に電話してるの」

その答えはスピーカーから出てきた。

『もしもし?』

「俺だよ武藤。へんな番号からですまない」

どうやら機体のことでマニアに聞くようだ。

『キ、キンジか!?今どこだ!?お前の彼女が 大変だぞ!』

彼女って、そんな噂流れてんだ。そりゃそうか 。

「彼女じゃないが、アリアなら隣にいるよ」

『お前・・・何やってんだよ・・・・!』

「か・・・・かの、かの!?」

へ〜、神崎って赤面癖があるんだ。しかもキン ジに、不平を言おうとしたら唇に人差し指を当 てられてもっと赤くなってるし。さすがヒステ リアスモード。

「武藤。ハイジャックのこと、よく知ってたな 。報道されてるのか」

『とっくに大ニュースだぜ。乗客名簿はすぐに 通信科が周知してな。知ってる名があったって んで、今みんなで教室に集まってたとこだよ。 アリアがいるってことは、あと2人もそこにい るんだろ?』

「「2人?」」

武藤の言葉に怪訝な顔をする2人。

『審治と火野さんだよ!乗ってないのか!?』

「はいは〜い。キンジの後ろにいるぞ〜。火野 もな〜」

突如俺の声を聞いて驚きながら振り向く2人。 おいおい、余所見運転はいけねえぞ

「あんたら、今までどこ行ってたのよ!あたし が武偵殺しと戦ってたっていうのに!」

「うっせーな。お前等がその武偵殺しをとっ捕 まえる作戦を建ててる時、時間稼ぎしてたの誰 だと思ってんだ?」

「おい、それは私だろ」

火野の突っ込みはスルーする。

『おお!やっぱりいたか!』

「喜んでるところ悪いんだが、キンジ聞くこと 、聞かせることさっさと済ませな」

「分かった。武藤、取り敢えず聞いてくれ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ