緋弾のアリア〜龍偵〜

□第11鱗
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負傷者が少々あったが無事バスジャックが終わ った。

神崎は額に傷が出来るそうなので入院した。

キンジとレキ、火野は見舞いにいった。

俺はどうでも良かったし、やることがあったの で行かなかった。

そして今、俺は武偵高の校舎裏に来ている。あ る人と待ち合わせしているのだ。

「ヤッホーシー君!なにか・・・・・・」

来た瞬間ハイテンションで話す理子。だが俺を 見た瞬間言葉を失う。

「やあ、理子さん」

今の俺は殺意を出しながら微笑んでいる。

ガタガタガタと体を震わせている理子。

「何であのとき『アバドン』をだしたのかな〜 ?」

「だ、だって調べたら出てきて・・・・それで 言ってみようと思って」

「俺さ〜、イー・ウーの元メンバーであること 隠してんのよ。てか神崎が捜してる1人なんだ よ?なのにあんなとこで言ったらさ〜ばれちゃ うよね〜。シャーロックにも武偵として生きろ って言われてんだよ」

正座で震える理子のツインの片方を掴み顔を上 げさせる

「これ以上余計なこと喋れば・・・・・殺すよ ?分かった?」

俺の眼、口、言葉全てから殺意を感じ震えなが ら涙目で頷く理子。

髪を離し、背を向けて歩き出す。

理子が震えを止め、立ち上がるのは1時間後の ことだった。


















理子を脅し、部屋に戻った俺はシャーロックに 電話する。

「どうしたんだい?」

「イー・ウーのメンバーに言っとけ、俺のこと を口外したら艦ごと海の藻屑にするとな」

「分かったよ。きちんと言っておくよ」

さよならも言わずに切る。

『アバドン』・・・・ヨハネの黙示録に出てく る奈落の王。ヘブラ語で破壊者、滅ぼす者とい う意味だ。

この二つ名が付いた理由は強さもあるが一番は その残酷さだった。

『血の滝』という事件が今から5年前にあった 。

日本の青森に出来たホテル『ドラゴボーン』で 事件は起きた。

出来たことを祝うパーティーがあった。

しかもそのホテルは世界中から注目されていた 。

龍の化石を展示しているホテルだったからだ。

本物だった。だが龍は聖なる生き物。人間が客 寄せのために使う物ではない。

ボルカを始めとする龍達は潰そうと考えたが俺 が止めた。こいつらがでればもっと人が来ると 思ったからだ。その時、シャーロックから依頼 を渡された。パーティーに来る外国の株主を殺 す仕事だ。シャーロックからは他の人はどうで も良いと言われたので、殺した。ホテルにいた 者全員を滅ぼした事から『アバドン』と呼ばれ るようになった。

窓に切り落とした首をおいて血が窓から流れ出 ていくようにした。ほとんどの窓に置いたので ホテルか血が滝のようにでている様子から『血 の滝』と呼ばれるようになった。

ちなみにホテルは骨を灰にするための火葬場所 にした。もう一つちなみにこの事件は懲役20 4年分らしい。

























バスジャックが終わり2日たった日曜日の午後 、暇つぶし散歩してたら挙動不審なキンジを見 つけた。この頃何か苛ついてるよな〜と思い近 づいたらキンジが神崎をストーカーしてること に気が付いた。

「うわ〜、下手くそ。神崎気付いてるし」

と言いつつ俺も尾行した。行く場所は分かって るけど暇つぶしにはなるかな。そして神崎が止 まったのは、予想通り新宿警察署だった。

「下手くそな尾行ね。シッポがにょろにょろみ えてるわよ」

キンジが棒を飲んだような顔をする。

「何だよ、気付いてたならそう言えよ」

(気付かれてないと思うお前はバカだろ)

「迷ってたのよ。あんたも武偵殺しの被害者の 1人だから」

(どうやら気付かれてないようだな。んじゃそ ろそろ)

「それは俺もじゃないのか?」

突然現れた俺にびっくりする2人。

「あんた、いつから・・・・・!?」

「そこのバカのストーカーに気付いた辺りかな 」

「・・・・・いいわ。着いてしまったんだし。 2人とも来なさい」

留置人面会室で会ったのは、神崎の母のかなえ さん。彼女はイー・ウーの罪、懲役864年架 せられている。俺の204年分もね。そしてキ ンジと一緒に親子の話を聞いてるだけ。神崎の

「誰も、あたしには、ついてこれなくて・・・ ・」

と言った時はつい、「だろうな」と言った。神 崎が切れそうになったが面会時間が押してるた め無視することにしたらしい。

「神崎。時間だ」

(待ってました!)

「ママ、待ってて。全員捕まえて無実を証明し てみせるから」

「アリア。私の最高裁は、弁護士先生が一生懸 命引き延ばしてくれるわ。だからあなたはまず パートナーを見つけなさい。その額の傷は、あ なたがもう自分1人では対応しきれない危険に 踏み込んでいる証拠よ」

(さすが母だね〜)

「やだやだやだ!あたしはすぐにでもママを助 けたいの!」

「アリア・・・・・!」

「時間だ!」

興奮するアリアを宥めようとアクリル板に身を 乗り出したかなえさんを、管理官が無理矢理引 っ張りもどす。

「ママに乱暴するな!」

神崎が切れてアクリル板を叩き始める。そこに

「すいません。あと3分だけ時間を下さい」

その場に居た全員が俺に注目する。

「だめだ。面会時間は過ぎている」

そしてかなえさんを引っ張り始めたので、俺は 一度目を閉じ、開いた。

「俺に従え」

頭をビクッと揺らして

「分かりました」

「てめえは出てろ」

俺の言葉通りに部屋を出る管理官。俺は驚いて いる神崎とキンジに向かって

「お前等も出ろ」

「いやよ!あんたの話なんかどうでも「アリア 。出なさい」ママ!?・・・分かった」

渋々出て行きやっと2人っきりになる。

「何をしたんですか?その模様が入った眼で」

「俺の母の一族の力で、強制的に人を従わせる んです。それはどうでも良いことですが」

「そうですね。それで、何のようですか?」

「『アバドン』と言えば分かりますか?」

眼を開き、驚きを表すかなえさん。

「はい。私に204年分の懲役を被せた人です 。」

「それ、俺です」

「あなたが!?あの『血の滝』をやった張本人 ・・・・・」

「そうです」

「その方が何用ですか?わざわざ捕まりに来た 訳では無いでしょう」

「俺は今武偵です。元々、自首するつもりでし た。それを教授に止められたんです。あいつが 何を目的にこんな事をしたのかは知りません。 ただ一言いたかったんです」

「何ですか」

「・・・・・・・すみませんでした」

「!?・・・・・・それはあなたの意志ですか ?」

「はい。では」

新宿警察署を出て雨の中新宿駅に向かう。そこ には泣く神崎とそれを見守るキンジがいた。俺 も少し離れてそれを見守る。俺の心は罪悪感で 満たされ、雨がその心に染みていく。



















週明けの朝、理子からメールで今日神崎がロン ドンに戻る事、その時飛行機をジャックするこ と、キンジも巻き込むことを知った。

「で、俺にどうしろと?」

昼休み、屋上で理子と2人でお話。

「シー君には証人になって欲しいんだ。りこり んが〜アリアを倒す事のね!」

「了解。その飛行機のチケットは?」

「は〜い!どうぞ!」

何故か胸の谷間から封筒を取り出し渡してくる 。

中には二枚分のチケットが入っていた。

「誰の?」

「それはね〜、シー君1人じゃ心細いから他の 武偵の子を誘って欲しいんだ〜。誰でもいいよ 〜」

「・・・・・火野を誘うか」

「おお〜!火野ちゃん!?そういえばシー君て 火野ちゃんに告られたんだよね? どうしてふ ったの〜?胸も理子より少し小さいだけだし顔 も可愛いのに〜」

「黙れ」

「ケチ〜」

口を尖らせてブーブー言う理子。

「あ、じゃあ、理子と付き合わない? 同じイ ・ウーの仲間なんだから、色々と良い関係を持 てると思うよ?」

「俺は、元、イ・ウーだ。大体、俺がアバドン ということをサラッと喋る奴と付き合う気なん てねえよ」

「あれについては謝ったじゃん!」

「そうだとしても、俺には俺の事情があんだよ 。んじゃな」

俺は理子を残して、屋上をあとにした。























「という訳だ。どうだ?」

放課後、火野を空港に呼び出して事情説明。

「その前に、何で武偵殺しの願いを聞いてるん だ?」

「結構報酬がいいんだよ。前払いでな」

「・・・・・」

「スィートクラスだぞ」

それで決まった。

「分かった。ただし、もし神崎が殺されそうに なったら私は理子を止めるぞ」

「いいぞ〜。久々に『炎の踊り子』(ファイヤ ーダンサー)の舞いが見れるかもな。楽しみだ 」

「お前は何もしないのか?」

「ピンチになったら『AHS』(アサシン ヘ ッド ショット)で援護するよ」

「分かった」

俺らはANA600便に乗った。

「夢にみたスィートクラス・・・・・」

部屋に入った瞬間火野がはしゃぎだした。

「こいつは一階がバー、二階は12の個室、全 席スィートクラスを造ったセレブ御用達の新型 機だ。さすが貴族だな。これ片道20万だぞ。 おーい火野、はしゃぐのもそれぐらいにしてこ れ付けろ。」

冷蔵庫からジュース、お菓子を取り出しベット でくつろいでいる火野にインカムを渡す。それ を受け取りながら首を傾ける。

「なんの為だ?」

「俺がキンジに仕掛けておいた盗聴器から送ら れる音を聞くためだ。これならまだ分かるだろ 。」

「何時の間に、と突っ込みたいがまあ良いか」

早速、付ける。すると、

『武偵だ!離陸を中止しろ!』

キンジの声だ。

「どうやら乗ったみたいだな」

「パクパク。チュ〜」

「やる気あんのか!?」

「始まるまでもう少し時間あるだろう。いいじ ゃないか」

「・・・・だな」

火野が横になってるダブルベットの横に座る。

「そういえば何故私なのだ?レキとかがいたの に」

「レキは狙撃手だぞ。それより中距離戦がいけ るお前のほうがいいからな」

「なるほどな」

「機体が壊れないか心配だけどな・・・・」

「なっ!?ふん!」

横になったままそっぽを向く火野。

「あ、ごめん。つい」

「つい正直に口が滑ったとか言うつもりだろ、 どうせ。」

そっぽ向いたまま機嫌を最と悪くする火野。対 応に困ってるとき手に火野の髪が触れてるのに 気付いた。火野の腰まである髪。いつものよう に後ろで縛っている。その髪に触れる。櫛でと かす必要が無いほどサラサラの髪だ。

「相変わらずきれいな髪だな」

それに火野が反応し少し赤くした顔をこちらに 向ける。

「世辞のつもりか?」

「ん?本音だぞ。知ってるだろ、俺そう嘘を吐 かないこと。」

それを聞いてもっと赤くする。

「・・・・・審治。お前はほんとに天然の女殺 しだな」

何言ってんのか分からず首を傾げる俺を見て溜 め息を付く火野。

「はあ・・・・。そういえば前、お前が言って た突っかかってくるってやつ。あれをそろそろ 教えて欲しいのだが」

「まだわかんないの?ほら、断ったのに何回も 懲りずに来ただろ」

「??「高一からずっと言い続けてきたこと」 ・・・・ああ!告白か!」

「そうだよ。何回も何回も告ってきてそれで何 かと友達になったんだろ」

「今でも好きだぞ?」

「それ、告白?」

っと聞いたら、ボン!っという音と共に顔を真 っ赤にする火野。

「ち、ちがう!今のは・・・・その・・・・すー 、はー」

深呼吸をし、俺の隣に腰掛け、俺を見る。

「私は本当に・・・・お前のこt「パン!パァ ン!」何だ!?」

「始まったな」

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