緋弾のアリア〜龍偵〜

□第6鱗
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「どうしょう、これ」

「けほっ!飛闇君?やりすぎじゃないかい?」

砂がかかっててもイケメンの不知火だ。

不知火は前回組んだときに力を見せちゃったのでさほど驚いてないが

他の皆は呆然としている。いや、もう一人いた。驚いてないのが。

「飛闇〜てめえなにしてんだ〜?」

殺気全開モードの蘭豹が。即座に土下座モードになる。

「すみません!あれほどの威力になるとはおわっ!」

いきなり刀振ってきやがった!

「ちょっ!先生!危なっ!!」

首、心臓、頭を狙ってくる蘭豹の刀を避けながら

不知火たちに止めるようにお願いしようとみると、

皆は警視庁特殊部隊(SAT)

ご用達の、大型防弾盾(バリスティックシールド)

で壁を作って避難していた。薄情者共め!

「おわ!やべ!」

遂に壁まで追い詰められてしまった。

「死ねー!!!!」

上段から刀を振り下げてくる蘭豹。

「正当防衛!」

などと言いながら真滅天を少しだけ刃を出し、

受け止める。すると、

シャン!

蘭豹が刀を振りきった音が聞こえ、

キィン

続いて刃物が地面に落ちたとき音が聞こえた。

斬られたのだ。蘭豹の刀が身を守るために盾にした真滅天の刃に。

「な!?」

蘭豹の驚きの声が聞こえた。俺も驚いている。

真滅天の刃を見れば刃こぼれ一つせず輝いている。

「うっ、ううっ」

そしたら泣き声が聞こえた。女性の。

見てみれば蘭豹が自分の折れた刀を見ながら

(な、泣いてる!?)

涙をこぼしている。そして、

「うわーん!私の斬馬刀がー!」

泣き叫びながら校舎に走っていった。

「まじで?」

「泣いてたよね?」

「あの怪物が!?」

と生徒の声が聞こえる。

俺も驚いてる。

(や、やっぱ蘭豹も女なんだな)

と思った。走り去る途中で壁ぶっ壊しながら行かなければ

もっと思ったけど。そこはやっぱ蘭豹だ。

「やっちゃったね。飛闇君」

驚きながらも笑みを浮かべてる不知火だ。

「とりあえず教務科に言ってくる。」

「そうしなよ」

蘭豹の後を追うように歩き出す。その途中に折れた刃があったので拾っておく。

「それにしても、切れ味良すぎだな。扱いに注意しねえと。」

教務科についた。

「失礼します。」

開けたら、

(教務科全員いる!?・・・さよなら、俺の高校生活。)

「飛闇君、どうぞ入りなさい。」

小夜鳴先生に言われ入る。

「すいませんでした。」

「私に謝れても。蘭豹先生に謝りましょうよ。」

「・・・・はい」

もう泣き止んでるが目が少し赤い蘭豹の前に行き謝る。

「すいませんでした。」

「いいんや、折られたの武器の手入れが行き届いて無かった私

の責任や。だからええ。」

(ら、蘭豹の口からそんな言葉が!?)

心の中で失礼な事を言いつつ折れた刃をさしだす

「・・・あの、これ・・・・」

「・・・・・ありがと」

(お礼!?いま礼を言ったのか!?蘭豹が!?)

「さ、そちらは終わったそうなので強襲科の棟を壊した処遇を

決めましょうか。」

小夜鳴先生の声に涙が出そうだ。

「それは私が弁償で良いやら。」

「「「「えっ?」」」」

蘭豹除く教務科全員+俺の疑問声。

「あれは私の責任や。その場に居ながら止めなかったのだからな」

「いいんですか?」

小夜鳴先生の驚きの声。

てか皆驚いてるよ。

「ああ、その代わりに飛闇、お前にちょっと頼みがあるんや。」

「なんですか?」

(男紹介しろとか?)

「お前の刀ちょっとみせてみ」

「はぁ、どうぞ」

渡された刀を鞘から抜く蘭豹。

「ええ刀や。霧戸先生、どうですか?」

霧戸とは、この学校の刀の扱い方を教えてる先生だ。

長い白の髭から『仙人』と生徒の間で呼ばれている。

「素晴らしい、ですが見たことない刀ですな。」

細い目で刀を見る霧戸は俺を見る。

「飛闇君、この刀は誰が作った刀ですか?」

「知りません。錆刀だったので装備科の平賀さんに頼んで錆を

落としてもらったんです。平賀さんも錆を落としてくれる鍛冶職人を捜して頼んだそうです。」

「そうですか、分かりました。蘭豹先生、新しい刀はその職人に

打ってもらえばいいと思います。」

(新しい刀?)

「そうですか。おい飛闇、私の新しい刀代お前が出せや。」

「え〜!錆落としだけでもすげー金かかったんすよ!?そんな金ありませんよ!」

「うっさい!退学するか!?ああ!?」

「うっ!分かりました。値段決まったら呼んでください。あと何でもいいので

報酬が高い依頼ください。金が無いんすから」

「おお、あったら呼ぶわ。帰って良いぞ。」

「失礼しました。」

廊下にでたら

「はぁ〜〜〜〜〜〜マジで金がねえよ。」

肩を落としながら強襲科に戻る。












「なにごと?」

強襲科に戻ってきた俺は人がたくさん集まってるのを見つけた。

火野と、レキもいる。

近ずいて行くとそこは俺が龍振爪で破壊した射撃練習場だと

分かった。後ろにいる男子生徒に聞いてみる。

「これ何の騒ぎ?」

「なんでも射撃練習場が破壊されたらしい。しかも破壊した奴は

あの蘭豹をボコッたらしいぜ。」

(ボコッてはいないよ。噂ってこわいね〜)

俺がやったとバレるのも時間の問題なので早々に立ち去ろうすると、

「審治!?何があったんだ?」

キンジが何故か神崎と一緒にやってきた。その声に人集りの中の不知火が

反応して、

「飛闇君?皆、やった張本人が戻ってきたみたいだよ。」

皆が一斉に俺を見てくる。

(キンジ、不知火!てめえら余計なことを〜!)

当然俺は皆から質問を浴びさせられる。

「処遇は!?」

「泣いてた!?」

「どうやったの!?」

「良くやった!」

「どうせなら腕一本ぐらい切り落とせ!」

「いや!殺しちまえ!」

と言う風に。

「ちょ、ちょっとストップ!落ち着いて!」

止まる気配無し。

こんな風にした張本人たちは、少し離れたとこで説明を受けている。

神崎がこっちを見て目を光らせたのは気のせいか?

その前に、

(あいつらー!殺す!ぜってー殺す!骨も残さねえ!)

とりあえず周りの奴等を黙らすことにした俺は、

ダァン!

自分の銃で地面を撃った。

「ちょっと黙れ、てめえら」

しん・・・・と静かになる。

二人を殺そうと近ずこうとしたとき俺の携帯が鳴った。

(ちっ!誰だ!?)

仕方なくでる。

「もしもし、どちらさん?」

聞こえてきたのは

「やあ、久しぶりだね。審治君。」

俺が12の時以来の声だ。

「あんたか。お久しぶり。何の用?着るよ?」

「まあ聞いてくれ。今夜0時に学園島からレインボーブリッジを

挟んで北側にある空き地島に来てくれ。」

「仕事か?」

「みたいなものさ。報酬は20万。」

「2倍なら行く。」

「いいよ。じゃあ」

ピッ

「審治?依頼か?」

「そっ。準備あるから先に帰るわ」

立ち去ろうとする俺。そこに、

「待ちなさい!飛闇審治!」

「何?」

振り返ったら神崎がガバメントを抜いてこっちに向けていた。

(何で?)

「あたしと戦いなさい!」

「休み時間の時断ったろ。」

そう言って後ろを向き帰ろうとしたら、

「待ちなさい!風穴空けるわよ!?」

また脅しか。疲れるなあ

「撃ったところであんたは俺を倒せない。」

「やってみないと分からないわ!」

「残念だけどあんたの倒すと俺の倒すは違うんだよ。」

「なにが違うのよ!」

「あんたのは、屈服、降伏とかだ。だが俺のは、殺すことだ。」

「な、何言ってんのよ!武偵法があるのよ!そんなの出任せだわ!」

「どう思うもあんたの勝手。じゃあな。」

俺はそれだけ言って歩き出す。

(あいつの依頼は一筋縄で行かないことがあるから準備しねえと。)

その時、

ダァン! ヒュン!

一発の銃弾が俺の首を横切る。当たってはいない。

振り返れば神崎の黒のガバメントが煙りを吐いている。

どうやら撃ったのは神崎のようだ。

皆、驚いて神崎を見ている。

「何のつもりだ?」

今の銃弾は当たりはしなかったが明らかに敵意が含まれていた。

「あたしが戦いなさいって言ってんのよ。」

「おい神崎?」

「キンジ、不知火。そいつを止めとけ。俺と戦ってきた奴がどうなってきたか、知ってんだろ?」

「止めたほうがいいよ。神崎さん。」

「そうだぞ。あいつは手加減しねえぞ。」

不知火とキンジは必死に止めようとする。

「上等よ!手加減される気ないから!」

自信満々、勝気たっぷりだな。

「やめとけって。」

「救護科(アンビュラス)にお世話になりたくないでしょう?」

「黙りなさい!あたしは負けないわ!」

「だから!・・・・」

「もういいよ。キンジ、不知火。こいつに何言っても無駄みたいだ。」

「やる気になったのね!」

好戦的な笑顔だこと。

「キンジ、不知火。お前等、しっかり俺を止めろよ」

目の模様の赤が一段と濃くなる。俺は右腕を神崎に向ける。

「いくわがっ!?」

突如神崎が地面に片膝をついた。

「あんた、超偵ね!何をしたがっ!?」

いきなり神崎が後方に吹き飛んだ。神崎がいた場所に俺が現れた。

(周りの奴らはそう見えただろうな)

ドゴッ!

とんでいた神崎が垂直に地面に叩きつけられた。

俺が跳んで神崎を殴ったのだ。真滅天を抜き刃を下にし、落下する。

下には神崎がいる。突如審治の落下スピードが加速し、

ドゴン!

地面に落ちた。刀は皮一枚分神崎から逸れて地面に突き刺さっていた。

「やめろ!審治。殺す気か!?」

「そこら辺で止めとかないといけないよ」

「・・・・・・分かったよ。」

目の模様が元の濃さに戻る。

神崎は何も言わない。その目には涙があった。

「火野、レキ。こいつを救護科に運んでくれ。」

コクッ

「分かった。」

それぞれの返事をし、運び始める。

他の皆は黙って俺を見ている。

「キンジ、先に帰る」

「ああ」

「あと、止めてくれてありがとな。不知火も」

「気にすんな」

「別にいいよ。また明日。」

「ああ」

俺は皆の視線を感じながら、寮に戻った。
 

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