緋弾のアリア〜龍偵〜

□第4鱗
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昼休み、俺は 装備科(アムド)に向かい『ひらがあや』と

平仮名で書かれた表札のついたB201作業室 の扉を開けた。

「平賀さんいますか〜?」

「はーい!いますのだー!」

子供みたいな平賀さんの声が返ってきたので中 に入る。

物だらけの部屋の奥に屈んだり横向きになった りしながら向かう。

奥には作業台の前でダンボールで隠れてる誰か に四角の箱を

渡している平賀さんがいた。奥に進むにつれて 誰か分かった。

「レキさん。レキさんも平賀さんに依頼を?」

「はい。貫通弾(ピアス)の部品です」

「レキさんはお得意さんの一人なのだ!いつも まいどありですのだー♪」

こくり。

営業スマイルの平賀さんに頷くレキ。

「ところで平賀さん。俺が依頼した奴届いてま すか?」

「はいなのだ!ちょっと待っとくのだ!」

そういって物の中に潜り込んでいく平賀さん。

「た、確かここら辺にあるはずなのだ!」

物の中に見えなくなってなった平賀さん。

暇なのでレキと話す。

「レキさんて部品だけ買ってるんですか?」

「はい。組み立ては自分で行ってます」

「どうしてですか?」

「不発防止策(ミスファイア・プリベンション)です。」

「こだわってるんですね。」

「はい」

「でも銃も道具です。言う事をきかない時はあ りますよ」

「銃は、私を裏切りません」

レキは少し強く返してきて、唇を横一文字にし た。

「信頼してるんですね。うらやましいですね。 その銃が。」

「何故ですか?」

首を傾げながら聞いてくるレキ。

「あなたにそれほどの信頼を得るのは出来ませ んから。」

レキさんが何か言いかけた時平賀さんが戻って きた。

「有ったのだ!これなのだ!」

その腕に長方形の箱を抱えていた。

「確認するのだ!」

渡された箱を作業机に置き、開ける。

中には鞘に納められた一本の刀と銃が入ってい た。

銃を取り出してみる。

「これは・・・M1911A1ですね」

45口径の自動式拳銃である。

「そうなのだ!45ACP弾を使う大型銃なの だ!当たるだけで致命的な部位じゃなくとも相手を行動不能に出来るのだ!頭部撃ったら破裂するのだ!」

何気にグロいこと言ってるがスルーだ。

「こちらは?」

レキが刀を取り出す。

「それは飛闇くんが持ってきた錆刀を研ぎ直し た物なのです!

名を真滅天(シンメツテン)なのです!」

「真滅天・・・」

柄には龍の紋が入っている。鞘から出せば自分 の顔が映っている。

「飛闇くん凄いもの持ってるです。この刀、最 上大業物にも負けない

刀らしいのです。あの錆を落とせる刀鍛冶捜 すのは苦労したです!」

「ありがとう、平賀さん。」

刀を鞘に納め、平賀さんの頭を撫でる。

「ふにゃ〜」

目をトロンとさせ気持ち良さそうにする平賀さ ん。こう見ると本当に

子供っぽいな。

ガン!

「痛!?」

頭に鈍い痛みを感じて、後ろを見る。

後ろにかなづちを持っているレキがいた。

「レ、レキさん!?何で!?」

「何でもありません」

今度は唇をへの字にしている。

「と、とりあえず値段はどれぐらいですか?」

「はいなのだ!銃は弾倉排出(マガジン・エジェクト)を速くして

装填数を10に増やしたので・・・・ざっと これくらいなのだ!」

紙に書かれた額に顔の引き吊りが止まらない。

隣でのぞき込んできたレキの表情にも驚きが見 られた。

「こ、こんなにするの!?」

「刀鍛冶を見つけて依頼するので結構かかった のです!ホルスターは

オマケしといたです!」

「し、仕方ないか。明日全額持ってきますね。 平賀さん」

「はい!お待ちしてるのです!」

完全に営業スマイルの平賀さんに見送られて俺 たち

は装備科を後にした。刀は腰にさし、銃はベル トのホルスターに。

「飛闇さん銃を変えるんですね。」

「はい、前のトカレフは暴発したときに壊れた んで」

「そうですか。刀は?」

「あれは俺の力に成ってくれそうだったので。 」

「そうですか」

「あ、そうだレキさん。もし教務科から依頼が あったら俺も

誘ってくれませんか?」

「いいですよ」

「よかった。俺、最近承けたばっかで。金がヤ バくなったんですよ。」

「そのかわり」

「はい?」

「その代わりに敬語を止めてください。」

「え?わ、わかりまじゃなくて分かった。」

「では」

そう言って狙撃科 スナイプ に向かっていったレキの顔は

(笑っていた?)

信じられなかったが本当に笑っていたのだ。

「やっぱり、笑っていたほうが可愛いな。」

そういって強襲科に向かう。

風が二人の頬をくすぐった。
 

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