恋愛無関心症患者のカルテ
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世間を騒がせた連続強盗グループ、10年の時を経て逮捕へ。
財界に衝撃が走る!主犯格は不野山剛三氏の孫、不野山アキラ(32)
10年に渡る、警察の不屈と執念の逮捕。水面下で進められていた捜査の、その舞台裏とは!?
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連続強盗グループFが逮捕され、4日が過ぎようとしていた。
潜入や捜査に明け暮れ、外を駆けずり回っていた捜査陣は、今は取調室に篭もりっきりで逮捕した5人の聴取に忙しい。そして、世間もまたこの衝撃的な話題でもちきりだった。
テレビ、新聞、ラジオ、インターネット…あらゆるメディアが、10年越しの逮捕をごぞって取り上げ、毎日のように特集を組んでいる。署や検事局の前にもマスコミの張り込み、その一挙一動をつぶさに"監視"していた。
「………」
そして。その担当検事である御剣は、検事局の執務室で優雅に紅茶を飲んでいた。普段は読まない週刊誌を片手に、実に面白くなさそうな表情で紅茶のカップに口を付ける。世間一般の感触を確かめようと目を通してみたはいいが、仰々しい見出しが乱立するそれに、胸焼けを覚えてしまいそうだ。
コンコン。
「深見です」
不意にドアをノックする音と、共に告げられた名前に、御剣は手にしていた週刊誌をデスクの上に置いてその上に書類を被せて隠す。
「入りたまえ」
「失礼します」
御剣の許可の言葉を受けてからドアが開く…さすがに例の御婦人による2度目の乱入はなく、唯は問題なく室内へ入ると御剣が座るデスクへと歩み寄った。
「先程終わった、本日分の調書です」
「あぁ…」
御剣は差し出された書類の束を受け取ると、ぱらぱらと簡単に内容を確認して、机の上に積み上がったファイルの上へと乗せた。後で改めて処理するのだろう。
「序審裁判は…明後日でしたか?」
唯の問いかけに、御剣は頷いた。
「あぁ。午後からの予定だが…」
「………」
「………」
「……検事?」
唐突に渋い顔で黙り込んだ御剣に、唯は訝しげな表情を向ける。
「…君は」
「………」
「その……今回の取り調べに、参加しているのだろうか?」
実に言いにくそうに問いかけてきた御剣に、唯は一瞬だけきょとんとした瞳を彼に向けた
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