恋愛無関心症患者のカルテ
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鬼検事・御剣怜侍に恋人が出来た、らしい。
しかも、一昨日あたりに。
淡々と理解しがたい恋愛論を語った後で出てきた話に、矢張と成歩堂は腰を抜かした。
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「……そんなに驚く事だろうか?」
ただ1人、当事者である御剣はきょとんとしながらもワインを1口口に含む。それを呆然としたまま見つめ、さらには彼が女将にチーズ盛り合わせを追加注文するところまでも見守ってから…2人はようやく口を開いた。
「だ――だって!お前さっき、僕と同じフリーだって言ったばっかりじゃないか!今の話、本当なのか!?」
「ム?フリーだと言ったか?」
「言った!」
「なら言い間違いだ。すまんな」
あっさりしすぎる御剣の対応に、成歩堂は「うう」と今にも泣き出しそうな呻き声を漏らした。
「今、この中でフリーなの僕だけだぁ〜」
「し、しっかりしろ成歩堂!すぐまた別れるってコイツ!どーせ問題ないからって理由でOKしちまったんだろ!?御剣!」
矢張の指摘に、御剣は女将からチーズ盛り合わせの皿を受け取ると、空になったグラスを返しながらワインのおかわりを頼んだ。
「聞けよ!」
「ム?聞いてるぞ。まぁ、問題なかったのも理由に入るが、今回はいつもと勝手が違うのだ」
「な、何だよ。勝手が違うって」
「私はその申し出を了承せざるを得なかったのだ…あぁ、ありがとう」
一旦、女将が持ってきたワインのグラスを受け取ってから、御剣は腑に落ちないといった2人に向き直った。
「……一昨日の話だ。私は、ある事件の証拠を改めて検分しようと警察署を訪れたのだ」
御剣が語る、今カノ(?)との出会い。矢張と成歩堂はその話を身を乗り出して聞く事にした。
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