恋愛無関心症患者のカルテ

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鬼検事・御剣怜侍に恋人が出来た、らしい。

しかも、一昨日あたりに。

淡々と理解しがたい恋愛論を語った後で出てきた話に、矢張と成歩堂は腰を抜かした。



***



「……そんなに驚く事だろうか?」

ただ1人、当事者である御剣はきょとんとしながらもワインを1口口に含む。それを呆然としたまま見つめ、さらには彼が女将にチーズ盛り合わせを追加注文するところまでも見守ってから…2人はようやく口を開いた。

「だ――だって!お前さっき、僕と同じフリーだって言ったばっかりじゃないか!今の話、本当なのか!?」

「ム?フリーだと言ったか?」

「言った!」

「なら言い間違いだ。すまんな」

あっさりしすぎる御剣の対応に、成歩堂は「うう」と今にも泣き出しそうな呻き声を漏らした。

「今、この中でフリーなの僕だけだぁ〜」

「し、しっかりしろ成歩堂!すぐまた別れるってコイツ!どーせ問題ないからって理由でOKしちまったんだろ!?御剣!」

矢張の指摘に、御剣は女将からチーズ盛り合わせの皿を受け取ると、空になったグラスを返しながらワインのおかわりを頼んだ。

「聞けよ!」

「ム?聞いてるぞ。まぁ、問題なかったのも理由に入るが、今回はいつもと勝手が違うのだ」

「な、何だよ。勝手が違うって」

「私はその申し出を了承せざるを得なかったのだ…あぁ、ありがとう」

一旦、女将が持ってきたワインのグラスを受け取ってから、御剣は腑に落ちないといった2人に向き直った。

「……一昨日の話だ。私は、ある事件の証拠を改めて検分しようと警察署を訪れたのだ」

御剣が語る、今カノ(?)との出会い。矢張と成歩堂はその話を身を乗り出して聞く事にした。



***
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