過去拍手

□夏は田舎へ行こう!-03
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…とある早朝の話。

ドタドタドタと、廊下を走り抜ける音が聞こえたかと思うと、ばしん!と勢い良く障子戸が開けられた。




「「ミツルギー!」」

「ぐっ!?」

姪っ子2人が、まだ寝ている御剣さんの布団めがけてジャンピングダイブをかます。完全に不意を突かれた御剣さんは、女児小学生2人分の全体重を容赦なくその身体で受け止めるハメになった。

「ちょっと!あーちゃん、まーちゃん!御剣さん寝てるんだから、そんな事しちゃダメ!」

2人の後ろをのんびりと追って一応注意をするが、姪っ子は「うふふ」と笑いながら御剣さんの布団の上でごろごろと転がっていた。

もぞ、と布団が動き…御剣さんがその身体をゆっくりと起こす。

「な……何の騒ぎだ」

崩れた髪を手櫛で撫で付けながら御剣さんが呟くと、姪っ子達が声を揃えて告げた。

「ラジオ体操!」

「ラジオ体操行こうー!ミツルギー!」

「………ラジオ、体操?」

戸惑いたっぷりに御剣さんが呟く。私は姪っ子2人を見下ろして、腰に両手をあてた。

「だからダメだって!御剣さん、まだ眠たいんだからねんねさせてあげて!」

「……いや、いい。起きる。行こう」

"御剣さんが普段、いかに忙しいか"を得々と語ろうとした矢先に、当の本人から許可が出てしまって私は思わずぽかんと口を開けた。

「みっ…御剣さん!?いいんですよ。こういう時でないとゆっくり出来ないんですから」

思いとどまらせようとする私をよそに、御剣さんは枕元に置いてある携帯を開き「……6時か」と呟くと「丁度いい時間だし、起きる」と立ち上がった。

思いもよらない展開に私が呆然としている間、姪っ子達はテンションマックスで部屋を出る御剣さんを追いかけた。

「行くのー?」

「行こう行こうー!」

「あぁ、行こう。顔を洗うから、少し待ちたまえ」

「………」

泣く子も黙る、鬼検事・御剣怜侍。ラジオ体操に行く。

…成歩堂さん達が知ったら、どういう反応するかな。

誰もいなくなった客間で立ち尽くす私は、ふとそう思った。



***
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