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□夏は田舎へ行こう!-02
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…アナター。お湯加減はいかがですか〜?
「っ!?な、な……何だ!?何で君がそこにいるんだ!」
大丈夫です。壁を隔てて外なんで、ここ。御剣さんの魅惑の裸体は見えてませんよ。
「ム……では、質問を変えよう。何をしにそこにいるんだ」
はぁ。未来の旦那様の為に、お湯加減の調節に来たんです。
それと…
「…それと?」
多分、御剣さんが一番最初につまづくのがお風呂じゃないかと思いまして。
入り方、分かります?
「ぐっ……べ、別にヤケドはしていない」
って事は、ヤケドしそうになったんですね〜。どうせ考えもなくフツーに足突っ込んだんでしょ?ダメですよ〜。
「ならば底意地の悪い事を言わずに、入り方を教えたまえ。未来の亭主が怪我をしてもいいのかね?」
いや〜。検事局の華である天才検事に、私みたいなイッパンピーが何かしら教えられる事があるっていうのは、なかなか嬉しいですね。
……でも、たまには自分で考えましょうよ。
「貴様っ…」
ヒント。
…あんまりあれこれ動かしちゃダメですよ?
「動かしてはダメ……
……
この、板か?」
お。さすが御剣さん。分かりました?
「ふム。これは湯船の蓋かと思っていたのだが、サイズが少し小さいのが気になっていた。これを使うのだな」
はい。それをですね、底に沈めて使うんです。中央にですね、足を乗せて沈めながら入るんですよ〜。
「良く出来たものだな。早速やってみる。
………
………っ、あ、つ!!」
…あ。
うちのお風呂、五右衛門風呂っていうより長州風呂っていう釜全体が金属で出来た風呂なんですよ。
だから、側面も熱が回って熱いかもしれません。寄り掛かる時は、気をつけてくださいね。
「…早くそれを言いたまえ」
すいませんすいません。とはいってもヤケドするほど熱くはないと思うんですけど。
…で、湯加減は如何いたしますか?
「うム。もう少し熱くしても構わん」
分かりました。
………
いかがですか?五右衛門風呂、悪くないでしょ?
「………そうだな。綺麗だ」
は?
「上の方の窓から、月が見える」
あぁ、満月ですね。
「……このような綺麗な環境で育ったから、君の心も無垢で美しいのだな」
………
…御剣さん。
「何だ?」
姉が聞いています。
「なっ!?…っあち!!」
み、御剣さん!慌てないでください!
んもう!お姉!もう大丈夫だからあっち行ってて!!
「………な、何故。君の姉君が……いつからそこにいた?」
御剣さんが月を見た云々あたりからです。
御剣さん、長湯だから大丈夫かなって様子を見に来たみたいですよ。
どうします?もう上がりますか?
「……いや、もう少し、堪能する」
ですよねー。すぐ上がったら、姉に会いますもんね〜。さっきの今じゃ、ちょっと恥ずかしいですよね〜。
「……君は未来の亭主の為に、黙って湯加減を調節すればいい」
***END.