神様の言う通り

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「…っていう訳なのよ」

「……思ってたより、悪い事はしてなかったんだな。やり方はともかく」

「なんだよその"思ってたより"っていうのは」

「だって。お前の事だから、もっととんでもない事をしでかしたんじゃないかって思ってて。危機感を煽って告白させる〜っていう流れには遠いけど、当て馬にはなった訳だし」

「まぁ俺もよくやったと思うぜ。トドメのアレも効いてんじゃねーかな?」

「………は?」

「ん?何だ成歩堂」

「お前…その後、帰ったんじゃないのか?」

「バカいってんじゃねーよ!俺は愛の伝道師なんだぜ?仕上げも抜かりねーよ!」

「………話せ」

「え?」

「その"仕上げ"の事も、最後まできちんと話せ。矢張」

「おう!俺、御剣のために頑張ったんだからな!」



***矢張政志の証言・続き



何だかいい雰囲気になってるし、御剣も嬉しそうだし、ここは一発ガツンと攻めるべきだなーって思ったんだ。鷹宮ちゃんに、御剣はスゲーんだぞ!っていうのを知らしめたいっつーかさ。とにかく御剣の凄さを教えてやりたかったんだよ。

だから俺は、御剣が会計を済ませたタイミングを見計らって、声を掛けてやったんだ!

【おい、御剣】

【なんだ?貴様、まだ居たのか】

【ほら、買い忘れだぞ】

【何が――……っ!!!?】

レジカウンターに、とっておきのを置いてやって、御剣の凄さをアピールしたんだ。御剣のヤツも驚いて固まってたぜ!



***



「…何を置いた?」

「そりゃー、男の凄さをアピールするんだからな。一目一発で分かるヤツだよ」

「だから、何を置いた?」

「何って…ナニだよ。コンドーム」

「…………は?」

「サイズも気を遣って一番デカイヤツ選んだんだぜ。超極太ラージっていうの」

「……お前。それ、本気で?」

「俺はいつだって本気だぜ?成歩堂」

「………そうだったな。うん」

「男のナニのデカさは、懐のデカさに通じるって言うだろ?」

「聞いた事ないよ、そんな話」

「そうか?でも、御剣はすげーってアピール出来るだろ!?一発でさ!」

「うん、出来ると思うよ。色んな意味で」

「まぁ、俺はアイツのナニのサイズが何かは知らねーんだけど…そしたらアイツ。白目剥いてぶるぶる震え始めちゃってさ」

「うん」

「うおおおおーって叫びながら、ものすごい勢いで店から出て行ったんだ」

「レジに置いた、ソレはどうした?」

「あ?置いたまんまだったから、俺が売り場に戻しておいた」

「………」

「いやー。俺さぁ〜、今回結構頑張ったって思わねー?」

「…うん。お陰で何で御剣が今日いないのか、分かった」

「え?」

「今のアイツは34歳じゃなくて、多感で敏感な中学生なんだ」

「言ってる意味が分っかんねーよ」

「そういう思春期モードに入ってる時に、そのようなアレを好きな子の前に出されたら、傷つくって言ってんだよ」

「………あ、そうか」

「分かったか?」

「サイズが違ってたって事か!そうだよなー。好きな子の前で自分のナニより小さいゴムを出されたら、すげーショックだよなー」

「――…」

「つー事は、アイツ…相当デカイのか。買うの大変だな。日本じゃその辺に売ってなさそうだし。海外から取り寄せてんのかな?」

「知らないよ…」



あーあ。

あれだけ通いつめてたのに、ぱったりと来なくなったのを見るに…こりゃ、とんでもないアクシデントだな。



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