「L ong M ein」
□「2:はじめまして」
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―…今回の仕事は、アバラントにいるリコール一家を裁いてきてほしい。
名無しさんは初めての仕事と場所で出鼻をくじかれていた。
まず、自分のいるところが分からない。
そして、合流しろと言われた“アンディ”という人と一向に会えない。
「ここどこだろう…」
どこを歩いてもただの町並みが続くだけだ。
「お嬢さん、お嬢さん」
背後から声をかけられる。
怪しげな男は名無しさんににたりと気味悪く笑い、ワインの瓶を見せる。
「少し飲まないかい?」
「…ごめんなさい、わたし、まだ歳いってないので。」
そっけなく返事をしても腕をつかまれ、逃げられなくされた。
酒臭い息に名無しさんは顔をしかめる。
この人嫌だ…。
もう仕方ないから魔術を使って逃げようかと考えたとき
「ねえ…何してんの」
名無しさんと同じ赤いマントを羽織ったおかっぱの少年は面倒くさそうに、
男の手を名無しさんから退ける。
男は怯んだのか舌打ちをしながら足早に逃げていった。
「ありがとう、ございます」
「…キミ、名無しさん?」
突然自分の名前を言われ戸惑ったが不意に思い出す。