「L ong M ein」

□「1:彼女」
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例えるなら地獄。

そこでは子供が子供として扱われていなかった。


道具か
むしろ動物のように

ザックザック切られて投げ捨てられていく肉片、骨、身体。

白い部屋を赤く染めていく。
薬品のにおい、血のにおい。

『い、いや…いやああああ』

その気持ち悪さ、異様さに、逃げた。
あのジークフリード様がああいうことに手を染めていることを、知ってしまったから。

わたしはそこからどうやって町の路地まで逃げてきたのか分からない。

無我夢中にあの場所から、あのお屋敷から逃げたかった。


ジークフリードへの憎しみで胸がいっぱいであった。

「なんであそこから逃げてきたんだ?」




そんなの。


あんな目に遭わせられてる彼らの復讐のため。
それを良しとしているジークフリードへの復讐のため。


「怖かったから。」



わたしはわたしを抱き抱えてくれてるおじさんに言葉少なに答えた。
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