SPECIAL STORY
□大切な君に贈る言葉(下)
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「え? 銀さんの誕生日…ですか?」
10月10日の朝。
志保がかぶき町の街を巡回、もとい目的なしの散歩をしていると道の向こう側からお妙、新八、定春にのった神楽が歩いてきた。
「あら、志保ちゃん」
「おはようございます」
「うわっ、朝っぱらから嫌なツラ見たアル」
「それはこっちのセリフですよ、チャイナ娘さん」
ガンを飛ばしてきた神楽に志保が応戦してメンチを切り合う。
「志保さん、お仕事ですか?」
「妙さん、どこか買い物にでも行ってたんですか?」
志保はお妙が両手に持ち定春がくわえた同じマークのついたレジ袋に目をやり言った。
「あれ? 僕いまさらりとスルーされたよね? つーか僕も袋3つ持ってるし!」
そうしたら、お妙が嬉しそうにふふっと笑った。
「ええ、実は今日銀さんの誕生日なのよ」
「え? 銀さんの誕生日…ですか?」
そんなこと、今日の今まで知らなかった。
まあ、つい半年前に知り合ったばかりなのだから当たり前なのだが。
「みなさんで誕生日のお祝いですか。きっと喜びますね」
「私達が祝ってやるんだから喜ぶに決まってるネ!」
神楽は自信満々に言い放った。
でも、あの人のことだから、自分の誕生日のことなんか忘れてるんじゃないかなあ…。
そう思った直後、志保の頭の中で豆電球のライトが点灯された。
いいかもしれない…。
「ねえ、みなさん」
3人と1匹が振り返った。
「私にいい案があるんですけど」
志保はニヤッと口角を上げた。