dream

□たまには
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「小春…」


大きく沈むソファーの上。

不意に名前を呼ばれて
赤らんでしまう。


「ち…ちょっとキッド…」


キッドの胸を押し返し
必死に抵抗する。


(どうしてこうなった……)



さかのぼる事、一時間。


「今日はリズとパティが
出かけているから
死刑台邸に遊びに来ないか?」

夕方、電話でキッドからの
誘いを受けた。


「行くっ!」

キッドの家に遊びに行くのは
久しぶり。

(やったぁ!楽しみだなぁ)


心を躍らせながら
遊びに来たのはいいものの…



「なんでお酒飲んでんの…?」


誘った当の本人が
お酒を飲んでいたのである。

小綺麗なテーブルの上に突っ伏している彼に問いかける。

「…ん。
リズが置いていったんだ。
見ろ!このパッケージを!」

おもむろに突き出すボトルのパッケージを見てみると、

「…シンメトリーだね。」

「そうだ。
気になって飲んでしまった。」


こいつのシンメトリーへの執着心は半端じゃないな。


「それお酒だよ?
酔ってるんじゃない?」

呆れてため息をついてしまう。

いくらシンメトリーだからって
お酒飲むなよ。

「酔ってなんかいないぞ。
ほら、見てみろ。」

すくっと椅子から立つキッド。

まっすぐに歩いて見せると
いうことだろう。

どうせすぐ倒れてしまうに決まっている。

「ちょっと無理しないでよ?
今日はもう寝なって…」

そう言いながら
キッドの手を引く。


キッドと会えるの
楽しみにしてたんだけどなぁ…


酔っていない、と言い張る彼を
近くのソファーに座らせた。


…絶対酔ってるじゃん。

これじゃ、寝落ちするのも
時間の問題だな。

キッドの横に私も腰かけて
手のひらで彼の頬に触れる。

「ほら、こんなに熱いよ?
水持って来るから待ってて。」

確かキッチンに買い置きの水が
置いてあったはず。

立ち上がろうと
キッドから手を離した。


すると、


突然腕をつかまれた。

予想していなかったことに
思わず固まってしまう。


「行くな」

腕をつかむ手に力が入る。

少し痛いくらい。



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