3

□拍手夢(〜4/20)
2ページ/4ページ

ホワイトデー記念その1・雲雀




-------------
-------------


実らぬ恋と分かってて、それでも受け取って貰えたのは嬉しかった。
いつもお1人で行動してる雲雀さん。
最初は接するのも怖かったけど、段々とあたしは彼の凛々しさに惹かれていった。

そして、1ヶ月前。
本命チョコなんて渡せるハズもなく、上司への礼儀として差し出した小さな箱を、彼は「貰っておくよ」と受け取ってくれた。
実は甘いもの好きなのかな、とか考えた。
そんな一面があったら可愛過ぎて余計に好きになっちゃう…!
私はボンゴレの中でも雑用係。書類の整理すらやらせて貰えないから、ほとんどお茶・コーヒー係のようなものだ。

今日1日も、お茶・コーヒー係として24時間過ごすハズだった。
なのに………

「あ、いた。」
『へ?』
「おいで。」
『えぇっ!!?』

キッチンにて、同僚と世間話に花を咲かせていた私。
突然やって来て外に連れ出したのは、隠れ本命チョコをあげた雲雀さん。

『(な、何!?どーゆーこと!?)』
「出かけるけど、いいよね?」
『あ、はい…』

切れ長の瞳と目が合ったのは一瞬なのに、顔中が熱くなってそのまま返事をしてしまった。
10代目のコーヒー、誰か私の代わりに注ぎ足しておいて下さい…。
エプロンだけ取って、私は雲雀さんの後をついて歩いた。
何処に行くんだろう……

歩き始めて数分、着いたのは小さな甘味屋さんだった。
そう言えば、雲雀さんは和食好きって聞いたことある……
席についてから、ようやく私が口をきく機会が訪れた。

『あの……』
「抹茶と桜餅、おいしいから。」
『は、はいっ。』

それを頼め、と言われているのだろうか。
とりあえずそれだけ頼んで向かいに座る雲雀さんを見る。
良く分からないけど、もしかして今日がホワイトデーだから…?
『(お返しに甘味屋デートとか…最高過ぎる!)』
心臓止まりそうな状況に、ニヤけそうになるのを必死に堪えて。
出て来た抹茶と桜餅をいただき、少し雲雀さんとお話した。
更に凄く申し訳ないことに、奢ってもらってしまった。
あんな連れ出され方だったし、お財布取りに行くのも無理だったけど……後で返そう。

「おいしかった?」
『はい!あの、ありがとうございました!』
「そう、良かった。」
『(わぁ…///)』

ふっと見えたその微笑に、またも顔の熱が急上昇した。
顔を隠すように咄嗟に俯いて、実感する。
雲雀さんは、やっぱり凄い人だ。
カッコ良くて強いのは勿論のこと、
超下っ端の私が差し上げたチョコにでさえ、こんな素晴らしいお返しをして下さるんだもの。
一体どれだけ惚れ直せば……

「何言ってんの?」
『へっ!?』
「他のチョコにお返しなんて必要ないよ。」

あ、あれっ…?
もしかして、もしかすると……
全部聞かれてました!?

驚愕のあまり口をパクパクさせる私の頬に、雲雀さんはスッと手を添えて。

「君にだけだから。」
………今の笑顔、かなりの反則です。
あなたは一体、何回私の心臓をチョコレートみたいに溶かしてしまうおつもりなんでしょうか?





桜餅色の恋模様
(実らないと思ってたのに、甘く優しく落ちて来た)



----------------
----------------

短くてすみません…。
雲雀さんは絶対自分が食べたい和菓子屋さんに行くハズ!←
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ