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□獄寺ハピバ!
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『おはよう獄寺!!』
「るせ。」
初めましての時からビビッと来た、
あたしの王子様にご挨拶。
軽くあしらわれるのは承知の上、
めげないで突っ掛かっていく。
『獄寺、今日はいい天気だね!』
「だから何だよ。」
『太陽ニコニコ弁当を作って来たんでーす♪』
「は…はあっ!!?///」
真っ赤になりながら慌てる獄寺に、もう一言。
『お昼、購買よりはいーんじゃないかなって……』
「だからってお前…!べ、別に俺は頼んでねーっての!!///」
「んじゃ、俺もらおっかな♪」
ひょっこりと後ろから現れたのは、山本君。
その横には沢田君も。
『2人共、おはよう!』
「あぁ!おはよ!」
「おはよう。」
「てめー野球バカ!お前がコイツの弁当食うとか10年早ぇんだよ!!」
「ん?だって獄寺がいらねーって、」
「んなこた言ってねぇ!!」
『え?』
あたしが差し出してたお弁当、
さっきまでスルーしてたクセに。
「コレは俺んだ!!」
とか何とか言って、奪い取る。
『あ、』
「おっ。」
「(獄寺君ってやっぱり……)」
『食べてくれるのっ!?』
「い、いやだからそのっ……///」
『ありがと獄寺っ♪』
「なっ、バカヤロ!くっつくんじゃねぇ!!!///」
だって嬉しくて嬉しくて。
抱き付きたくなっちゃったの。
「なぁなぁ、んじゃーさ、今度は俺のも作って来てくんね?」
『え?あたしのでいいなら…』
「ダメに決まってんだろ!!このっ野球バーカ!!」
『きゃっ…!///』
ずっと話しかけてたけど、
肩を抱かれたのは初めてで。
思わず赤くなってしまう。
「お、お前は俺が好きなんだろっ!?」
『え、あ、うんっ。(ち、近い///)』
「だったらっ……」
見上げた先の綺麗な瞳に、
完璧に吸い込まれ。
「だったら俺のだけ作れよ!!山本のなんか無しだ、無し!!」
『は…い……///』
そう、答えるしかなかった。
「アハハッ!獄寺って意外と大胆なのな♪」
「うん…びっくりしたよ…」
「ち、違うんです10代目ぇ!!えと、つまりそのっ…///」
「取られたくないんだろ?素直にそう言えばいーんじゃんか。なっ、ツナ!」
「あぁ、うん…ちゃんと言った方がいいかな、なんて…」
「じゅ、10代目がそうおっしゃるなら……」
何?何なの、この展開。
ちょっと待ってよ、期待しちゃう。
『ご、獄寺…?』
覗き込んだキミの顔は、
やっぱり赤くて。
「あー…っと…だから……」
連動するみたいに赤くなるあたしを、獄寺はギュッと抱き締める。
「好きだから、渡したくねぇっつーか……///」
『えっ…?』
「そーゆー事だっ!!!///」
次の瞬間、獄寺はあたしを放して教室を飛び出す。
『(好、き?)』
その響きに数秒ポーッとしてから、我に帰った。
『ねぇっ、獄寺ーっ!!』
「バッ…!追って来んじゃねぇ!!///」
『だって、あたしも獄寺大好きなんだもんっ!!』
「うっせー!言われなくても分かってんだよ!!」
心臓が激しく鼓動するのはきっと、
走ってるからだけじゃない。
今までで、一番幸せだから。
『獄寺ーっ!』
「うっせー!!」
廊下を走るあたし達。
不意につまづいたあたしを獄寺が受け止めてくれるのは、
今から3秒後のコト。
fin.