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□赤兎様 Happy Birthday!
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「お誕生日おめでとうっ!」
『わーっ!ありがとーっ!!』
朝、ホームルーム前に渡されたのは、可愛いキャラクターが描かれた袋。
開けて良いか問えば、京子と花は「勿論♪」と頷く。
中学生になって初めての誕生日、貰ったのはミニタオル・マスコット・グラスの3点セット。
可愛い可愛い、と大はしゃぎして、描かれてるキャラクターと目を合わせる。
「ボーッとしてる顔、あんたに似てるよね。」
『え〜!もーっ、花ったら〜……』
「可愛いってことだよ、ね?花。」
『京子…!ありがとー!!』
思いっきり女の子の会話をして、誕生日に“形に残る何か”を貰えた喜びに浸って。
そんなルンルン気分のまま、あっという間に帰り道。
『(ん…?)』
地面を見ながら歩いていると、視界に細長い影。
秋の夕暮れで伸びてるらしく、影の持ち主は数メートル向こうに。
ちょうど私の家の前、まるで何かを待つように、ジッと立ってる男の子。
って…アレ、並中制服!??
『あ、あのぅ……』
「え?あっ……ああ!!///」
『ツナ君っ?』
「あ、えと……お帰り!…って、俺が言うのも変だよな…じゃあ、こんにちは!」
何だかとってもオロオロしてて、ちょっと可愛い。
『あ、うん。こんにちは♪と言ってももう夕方だけどね。』
「あ!そ、そっか!!」
『ってか、どしたの?こんなトコで。迷子?』
「なっ、何でそーなるんだよっ!!俺は、今日は、そのっ……」
何だか話が進みにくいのを察したあたしは、とりあえず“迷子”意外の選択肢を考え始めた。
遊びに来た?……いや、ない。
お使いで遠くまで?……だったらココで止まってるワケないよなー。
すると、何処からともなく第3者の声が。
「おいダメツナ、早くしやがれ。」
「なっ!付いて来んなって言っただろ!!」
スーツ着た…赤ん坊??
ツナ君の弟?
「違ぇぞ。」
『え?』
読まれた…心読まれたよ。
吃驚だよ。初体験だよ。
「とっとと渡せ。」
「う、うるさい!!早くどっか行けよ!!///」
『ツナ君…?』
「いっ!?あぁ、ごめん!あの……こ、コレ………」
ずーっと後ろに隠してた物を、恐る恐る差し出すツナ君。
リボンが綺麗に巻かれた、四角い箱。
「あのっ…た、誕生日…おめでとうっ!!///」
“男子からの贈り物”
その言葉に無縁だった私には、
衝撃的過ぎて。
『ど、どうしよ……』
「や、やっぱり迷惑だよね!ご、ごめ…」
『すっごく……すっごく嬉しいっ…!!』
四角い箱を受け取って、そのままツナ君に抱きついた。
『ありがと!ツナ君っ♪』
「わわっ!!///」
よろめきながらも、ツナ君はあたしを受け止めてくれた。
頬に、ツナ君のツンとした髪の毛が触れて、ちょっとだけくすぐったかった。
「あ、あの!」
『へ?』
「好きです!!!///」
『えぇっ!?///』
Happy Birthday To My Lover!!!
(ようやく言ったか、バカツナめ)
(うるさいよ!!///)
fin.