3

□赤兎様 Happy Birthday!
1ページ/2ページ

「お誕生日おめでとうっ!」

『わーっ!ありがとーっ!!』



朝、ホームルーム前に渡されたのは、可愛いキャラクターが描かれた袋。

開けて良いか問えば、京子と花は「勿論♪」と頷く。


中学生になって初めての誕生日、貰ったのはミニタオル・マスコット・グラスの3点セット。

可愛い可愛い、と大はしゃぎして、描かれてるキャラクターと目を合わせる。



「ボーッとしてる顔、あんたに似てるよね。」

『え〜!もーっ、花ったら〜……』

「可愛いってことだよ、ね?花。」

『京子…!ありがとー!!』



思いっきり女の子の会話をして、誕生日に“形に残る何か”を貰えた喜びに浸って。

そんなルンルン気分のまま、あっという間に帰り道。




『(ん…?)』


地面を見ながら歩いていると、視界に細長い影。

秋の夕暮れで伸びてるらしく、影の持ち主は数メートル向こうに。


ちょうど私の家の前、まるで何かを待つように、ジッと立ってる男の子。


って…アレ、並中制服!??




『あ、あのぅ……』

「え?あっ……ああ!!///」

『ツナ君っ?』

「あ、えと……お帰り!…って、俺が言うのも変だよな…じゃあ、こんにちは!」


何だかとってもオロオロしてて、ちょっと可愛い。



『あ、うん。こんにちは♪と言ってももう夕方だけどね。』

「あ!そ、そっか!!」

『ってか、どしたの?こんなトコで。迷子?』

「なっ、何でそーなるんだよっ!!俺は、今日は、そのっ……」



何だか話が進みにくいのを察したあたしは、とりあえず“迷子”意外の選択肢を考え始めた。


遊びに来た?……いや、ない。

お使いで遠くまで?……だったらココで止まってるワケないよなー。



すると、何処からともなく第3者の声が。


「おいダメツナ、早くしやがれ。」

「なっ!付いて来んなって言っただろ!!」


スーツ着た…赤ん坊??
ツナ君の弟?


「違ぇぞ。」

『え?』



読まれた…心読まれたよ。
吃驚だよ。初体験だよ。


「とっとと渡せ。」

「う、うるさい!!早くどっか行けよ!!///」

『ツナ君…?』

「いっ!?あぁ、ごめん!あの……こ、コレ………」



ずーっと後ろに隠してた物を、恐る恐る差し出すツナ君。

リボンが綺麗に巻かれた、四角い箱。



「あのっ…た、誕生日…おめでとうっ!!///」




“男子からの贈り物”

その言葉に無縁だった私には、
衝撃的過ぎて。



『ど、どうしよ……』

「や、やっぱり迷惑だよね!ご、ごめ…」

『すっごく……すっごく嬉しいっ…!!』



四角い箱を受け取って、そのままツナ君に抱きついた。


『ありがと!ツナ君っ♪』

「わわっ!!///」



よろめきながらも、ツナ君はあたしを受け止めてくれた。

頬に、ツナ君のツンとした髪の毛が触れて、ちょっとだけくすぐったかった。




「あ、あの!」

『へ?』

「好きです!!!///」

『えぇっ!?///』







Happy Birthday To My Lover!!!

(ようやく言ったか、バカツナめ)
(うるさいよ!!///)



fin.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ