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「ナシ子…ちゃん…?」


そう驚きの声を上げたのは

ナシ子が教室に入ってきた瞬間から固まっていた

亜紀人だった。


「…あき…と…?」


ナシ子も驚きの声を上げる。


「なぬっ?!
お前あの可愛い子と
知り合いなのか?!!」


イッキが亜紀人に
噛み付く勢いで言った。


「う〜ん…
知り合いって言うか
なんて言えばいいんだろ……。
とりあえず
僕は、幼馴染かな。」



ニヤッと亜紀人には珍しい
不敵の笑みを見せた。



「「「僕は??」」」



みんな亜紀人の言葉を聞き
同じ疑問を放つ。



「ちょっ、ちょっと…
亜紀人くんっ!」



慌て出すナシ子を余所に
ついでにみんなからの
疑問も無視して。

久しぶり〜〜っと言いながら
前に立ってるナシ子に近付いた。


「本当、久しぶりだね。元気にしてた?」

「うん!ナシ子ちゃんも元気そうだね。」

「あたしはいつでも元気だよ〜。それより身長伸びたんじゃない?2cmぐらい。」

「えへへ〜♪そうなんだぁ。良く気付いたね。」



そんな二人をポカンと見ている
クラスメイトを気にもせず。

テンポ良く会話を続ける二人を見て
本当に幼馴染なんだ。と
納得している者も居れば
色々と聞きたい者もいるのだろう。



そして区切りがいいとこで
亜紀人が眼帯に手を添えた。



「じゃぁ
そろそろ咢に代わらなくちゃね。」



ニヤニヤしながら言う亜紀人に

「いやっ、別にいいよっ!
もっと亜紀人くんと
話したいなぁ。
なんてっ!あ、あははははっ。」

とナシ子は異常に慌てながら
否定している。



イッキ達も
咢と会いたがらないナシ子を
不思議そうに見ていた。



しかしナシ子の必死な抵抗も虚しく
相変わらずニヤニヤした亜紀人が

「ダメだよ、咢。」

そう呟いて眼帯を左眼にズラし
咢になった。



「お、おい!亜紀人っ!!
    ……っ。」



「…………。」



「…………。」



が、二人とも目を合わさず
変な空気が流れている。



教室が今までにないぐらいの
沈黙で包まれた。



みんなも何かしゃべり難い
空気に戸惑いながらも
何故か息を飲みながら
二人を見つめてしまった。




「……久しぶり…。」



先に口を開いた咢の声が
沈黙の教室に響いた。



「う、うん。久しぶり。」



そこでやっと目を合わせた二人。



しかし、咢を見た瞬間
泣きそうな表情になりながら
ナシ子は顔を俯けた。



対して咢は
先ほどは打って変わって
ナシ子をしっかり見つめている。



咢の視線を感じながらも
ゆっくりと口を開いた。




「ごめんね…咢。」
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