ハートのクイーンのお遊び

□忍び雷鳴
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三人は早速ジャカンジャの情報を集めていた

「・・・やっぱりなかなか集まらないものだね〜」

大きくため息を吐きながら、一乃はパソコンの前に突っ伏した

「そうだな、レーダーでも見つからない・・・妨害電波でも発しているのか?」

一甲は顎に手を当てながら考える

「あ、でも疾風流にも生き残りがいたのがわかったの収穫かな?
そう思う?一甲兄者、一鍬兄者」
「かもな・・・」
「だがそんなことが分かっても意味がない」

一鍬は不機嫌そうに舌打ちをした

「そうだよねー、意味がないよねー・・・
やっぱりあっちからの接触を待つしかないのかな〜?」

一乃はまた大きくため息を吐いて呟く

「そうなるかもな・・・今はただの様子見だ、まだ判断するには早い」
「・・・ああ、わかっている」
「わかった」

一甲の言葉に二人はコクりと頷く、その時一乃は『ふぁ・・・』と欠伸を洩らす

「眠いのか?一乃」
「・・・眠くないもん」

目をゴシゴシと擦りながら言う一乃に、一甲と一鍬はやれやれといった顔で見合わせる
その間も一乃は眠そうになりながらもなんとか起きようとしている

「もう遅いからな・・・一乃はもう寝ろ」
「・・・やだ、眠くないもん」

明らかに眠そうなのだが、フルフルと首を振って寝ようとしない

「僕、まだ兄者たち手伝えるもん・・・」
「また明日がある、明日になったら手伝ってくれ」

だからもう寝ろ、と言って一甲は一乃の頭を優しく撫でた
一乃は渋々と小さく頷いた

「兄者たちは、寝ないの?」
「もう少ししたら寝る」
「そっか・・・
じゃあ、僕寝るよ」

そう言って一乃はすぐ近くにあるソファに寝転び、不安そうに二人を見上げる

「ねぇ、僕が寝るまで一緒にいてくれる?」
「・・・ああ、大丈夫だ」
「そっかぁ・・・よかった・・・」

そう呟けば、安心しきったように小さく笑い目を閉じた
しばらくすればすやすやと寝息を立てて眠る一乃に毛布をかけ、一甲たちはこんな会話をする

「本当に、大きくなったな一乃は」
「ああ・・・本当にな、兄者」

一鍬はすやすやと気持ちよさそうに眠る一乃を見つめ、微笑む

「なぁ、兄者・・・もし新たにアレの情報がわかったら一乃にはやはり言うのか?」
「・・・いや、言わないほうがいいだろう」

絶対に拗ねるだろうがな、と言って一甲はソっと一乃の頭を撫でる
一乃はそれに『んっ・・・』と声を漏らすも起きる気配はない

「一乃は、我らとは違う」
「ああ・・・」
「本当なら、普通の子供として過ごして欲しいのだがな・・・」

それは無理なことだと、二人はわかっていた
一乃は自分たちと同じ忍、その時点でこの無邪気な妹には世間一般でいう普通の子供≠ノはなれないのだ、絶対に

「いっこあにじゃ・・・いっしゅあにじゃ・・・」

すやすやと眠りながら、寝言で大好きな兄の名を呼ぶ妹に二人は頬をほころばせた
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