ハートのクイーンのお遊び

□忍び雷鳴
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此処は雷の谷と呼ばれる場所、此の谷には迅雷義塾という雷流の忍を育成する場所があり、多くの忍達が忍術を学んでいた

其の雷の谷にある森を走り抜ける影が一つ・・・その影の主は12程の齢の少女、少女はまるで急ぐように、森を駆け抜けていた
少女の名は霞一乃、この谷で忍の技を学ぶ、雷流の忍の一人だ
一乃は何かを見つけると、更に速度を上げた

「一甲兄者!一鍬兄者!」

できる限りの大きな声を出し、探していた人物達の・・・自身の兄の名を呼んだ

「どうした一乃」
「何かあったのか?」

一甲、一鍬と呼ばれた青年たちは振り返る
そんな二人に、一乃は息を切らすことも無く二人に駆け寄る

「さっき、ジャカンジャって言う変な奴らが来てね、皆が御札に変えられちゃったんだよ!」

そう告げる一乃の様子は、仲間がやられてしまい慌てているわけでは無く、むしろ興奮している様子だった

「ねぇ一甲兄者、ジャカンジャの目的って・・・絶対に『アレ』、だよね?」
「ああ、そうだろうな」

愉快そうに笑い乍、甘えるように腰に抱きつく一乃の頭を撫でながら、一甲は答える

「遂に、この時が来たな・・・」
「兄者・・・?」
「二人共着いて来い」

一甲はそう言うと、何処かに向かって歩き出した、一鍬はその意図が分かったのか笑みを浮かべ頷くと、一乃の手を引いて歩き出す
一乃は手を引かれるまま、二人に着いていった

「・・・ここだ」

暫く森を歩き、辿り着いたのは洞窟・・・その洞窟の前で三人は立ち止まった

「・・・此処に、あるのか兄者」
「ああ、此処にある・・・此処に、俺達の求める力がある」

そう言って頷く一甲を、唯一人状況を飲み込めていない一乃は不思議そうに見上げていた

「ねぇ・・・一甲兄者、ここに一体何があるの?」
「・・・一乃、お前も聞いたことあるだろう?
『闇に生まれ、闇に生きる、迅雷流伝説の覇者』の話を」

一甲の言った意味がわかったのか、一乃は驚きを隠せず目を見開いた

「あるの?ここに」

一乃の問に一甲は無言で頷き、洞窟へと目線をやると洞窟内へと入って行く、一鍬は一乃の手を引きながらその後に続く

「・・・暗いね、兄者」

洞窟内の独特な湿った空気と薄暗さに、ほんの少しだけ怯えた様に一乃は呟く

「怖いか、一乃」
「ううん・・・兄者達がいるから平気」
「あまり無理するなよ」

そう言って一鍬は、優しく一乃の頭を撫でた

「・・・兄者」
「ああ、ついに見つけた」

たどり着いた洞窟の奥にあったのは、二つの機械
それは正しく霞兄弟が探し求めたものだった

「・・・兄者、それがそうなの?」

少し不安そうに二人を見上げながら、一乃は聞いた
一乃の問いに答えることなく、二人はその機械を腕に装着した

「俺たちはゴウライジャーの力を得た」
「残すはアレを残すのみ」
「そして迅雷流の名を世間に轟かせる」

三人は、妖しく笑い顔を見合わせる
全てはアレを・・・忍者の秘術を手に入れるためにこれを手に入れたのだ

「ねぇねぇ兄者、ゴウライチェンジャーも手に入ったことだし・・・これからどうするの?
ジャカンジャもアレを狙ってるんでしょ?」

一乃は、ジッと兄たちを見上げながら尋ねた

「そこを利用するのだ」
「ジャカンジャを?
本気か兄者!」

一鍬は驚きの声をあげる、一乃も一甲の言葉に驚きの表情を見せていた

「やつらの狙いもまたアレ・・・
ジャカンジャの知らぬ情報も我らは持っている」
「そうか・・・その情報を欲しがるジャカンジャは我らの協力を拒めない、拒むわけがない」
「成程、アレを手に入れる最善の策ってわけだね!」

流石一甲兄者、と一乃はキラキラとした尊敬の目で一甲を見上げていた

「だが兄者、そうするには奴らのアジトが分からなければ・・・」
「奴らの接触を待つ、それまでは情報を集めるぞ」
「奴らのアジトの情報だね、任せといて!」

こうして、電光石火ゴウライジャーは誕生したのだった
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