□砂の星にやってきた!
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惑星間サッカー大会・グランドセレスタギャラクシーの本戦に進んだアースイレブンは、列車型スターシップ・ギャラクシーノーツ号に乗って地球を飛び立った。

車掌の蒲田静音が昼食ができたとアースイレブンとマネージャーと円堂瑞貴を呼びに来たので、未知なる宇宙食にドキドキしながら食堂車に行くと……。


「はい、昼食! ギャラクシーノーツ号特製だよ!」

「これって……」

「宇宙食と言っても、普通のご飯と同じなんですね」

「ギャラクシーノーツ号は重力制御されていますからね」

「何もかも地球にいるのと同じなんだ……」


メニューは海老フライとハンバーグとサラダとコーンスープとパンとオレンジ、少し拍子抜けだが逆にホッとする野咲さくらと市川座名九郎、真名部陣一郎と皆帆和人は宇宙にいるのに船内は無重力ではないので、食事も地球と同じ理由が納得した。


「なんか、物足りない気もするね」

「うん……」

「なんだいなんだい、あたしの料理に不満でもあるのかい?」

「「そ、そんなことないです!」」


地球のときと変わらない嬉しさとせっかく宇宙にいるのにというガッカリに、空野葵と松風天馬は眉を下げていると、うしろから蒲田静音がは二人の肩を抱えて半目で見て来たので、葵と天馬は慌てて訂正した。

森村好葉と九坂隆二はふと横を見ると、窓には飛び立ったばかりなので地球がよく見えるが、どんどん距離が出たので寂しさと不安を感じた。


「本当にに遠い星に行くんだね……」

「18万光年もあるなんてなぁ……」

「正確には18万8千光年です」

「光の速さだと18万8千年……」

「気が遠くなりそう……」

「着く頃には俺たち、じいさんになってるぞ」

「「「「「「ええっ!?」」」」」


真名部の訂正と皆帆の計算にさくらが眉を下げていると、椅子から立ち上がった鉄角真がみんなに見せるように窓辺に立ち、両頬を下に伸ばして年寄りの真似をしたので、ショックの声が上がる。


「やだ〜!」

「そんな……」

「そんなに時間がかかるなんて……」

「――大丈夫よ」

「「「「「えっ?」」」」」

「『ワープ』なら」

「ワープ?」


さくらや葵や天馬がうんざりしていると、水川みのりがそう言ったので天馬は目をパチクリする。


「なるほど。彼らはすでにワープ方法を開発しているということですか」

「おおっ! ワープか!」

「スゲー!」

「知ってるの?」

「「全然!」」

「「…………」」


真名部に同意するように、あれだけ騒いどいて知らないと断言した九坂と鉄角に、さくらと座名九郎はガックシと肩を落とした。


「いわゆる瞬間移動みたいなものだよ。たとえば通常地球から目的地の星まで一年かかるとするけど、ワープを使えば一日で辿り着けるみたいにね」

「へ〜! スッゴーい!」

「それならおばあちゃんになる前に行けるわ……」


瑞貴の説明にさくらが感嘆の声を上げ、葵は鉄角の言う通りにならなくてホッとひと息吐く。


「光星間航行にワープは必須ですよ」

「ワープかぁ……実際に経験できるとは思わなかったな」


同じく説明を聞いていた真名部も頷いて改めて言うと、天馬はSFで出て来てたので少し知っているが、自身で体験することになって少しワクワクする。


〈まもなくワープします。乗員は準備してください〉

「みんな、先頭車両に移動するよ」

「「「「「はい!」」」」」」


――昼食を食べ終えたあと、船内アナウンスが鳴ったので瑞貴の指示でアースイレブンは先頭車両に移動する。それぞれ席についてこれから来るワープに内心ドキドキしながら待っていると……。


プシュー……。


「っ! 誰かいるぞ!」


扉が開く音が聞こえたので鉄角は振り向くと、今度はすでに閉まろうとしていた。

すぐに鉄角は席から立ち上がって扉の外に行くと、通路には誰もいなかった。


「あれ? 確かに見たんだが……」

「見たって何を?」

「この宇宙船には、私たちしか乗っていないはずでしょ?」

「いないはずの誰かがいるってことか?」


さくらと葵と九坂を始め、全員気になって席から立ち上がる。その中でも黒岩流星はいつも通りだし、みのりはちょっとこちらを振り向いただけだが。
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