□どんな暗示にも負けない力
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「無様ね、キャプテン・マーベラス」

「ぐっ……」


大ダメージを受けて変身が解けて倒れるジョーとルカとハカセとアイムと鎧。そして同じように地に伏せるマーベラスに剣――ゴーカイサーベルが突きつけられる。その主は……瑞貴だった。



☆☆☆☆☆☆


事の始まりは瑞貴やマーベラスたちが地球を旅立って三ヶ月後、ジョーも知らない謎が多いザンギャックの本星を探索中、燃料と食料の補給のためにとある星に立ち寄った。

しかしその星は内部分裂で宇宙全土に影響力がなくなったザンギャックに未だに支配されているのだ。破壊される街の中でひっそりと暮らす住民からの情報では、統べているのはザンギャックの副参謀長・アジャインというらしい。

おかげで食料も燃料も補充できず、ゴーカイジャーはガレオンの居住区でジョーからアジャインについて聞く。


「副参謀長・アジャイン――参謀長・ダマラスの補佐だ。力は強くないが、催眠術を得意とする厄介な奴だ」

「で、今じゃダマラスに成り代わって参謀長になり、この星の独裁者ってわけか」


マーベラスは船長椅子に座りながら両手を組んで顔をしかめる。


「催眠術ってこういうのですか? あなたはだんだん眠くな〜る…眠くな〜る……」

「そんなモンで眠くなるわけが――……グーグー」

「ホントに寝るな!」


バシンッ!


「あいて!」


鎧が五円玉を紐で吊して振り子のように揺らすと、それを見たハカセが眠ってしまった。ルカが頭を叩いたおかげで目が覚める。


「マンガとかじゃ強い衝撃を与えると我に返るよね」

「では、万が一催眠術にかかってもルカさんがやったように叩けば元に戻るのでは?」


顎に指を当てて瑞貴は思い出すように言えば、アイムが両手を軽く叩いて笑顔で言うも、ジョーは静かに首を振る。


「そんな生易しいものじゃない。アジャインの催眠術にかかってしまったら、死ぬまで永遠に暗示を受ける。唯一覚ます方法があれば、アジャインが『催眠術よ解けろ』と念じないとムダだ」

〈大変だー! どーするどーする!? 君ならどーする!?〉

「決まってんだろ」


ナビィが慌てる中、マーベラスは船長椅子から立ち上がっていつものコートを羽織る。


「副参謀長とやらならザンギャック本星の情報も知っているはずだ。それを逃さねぇ手はねぇ」

「だね」


ニヤリと笑うマーベラスに、瑞貴たちも笑うのだった。
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