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□オルフェウスの天使!
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『イタリア代表のオルフェウスには天使がいる』
誰かがそう言えば大半は嘘だと思う者が八割、確かめに行こうとする者がその中から三割はいる。いざ行ってみれば……。
「初めまして! ミズキ=ガブリーニです!」
小さな体、金髪のフワフワでセミロングヘア、白いヘアバンドを頭に付けている。そんな少女に満面の笑顔を向けられて天使と思えない者がいるだろうか、いやいない。
そんな少女はまさにオルフェウスの天使でありアイドルなのだ。
☆☆☆☆☆
ピピピッ、ピピピッ――……!
「ん〜……」
朝。ミズキは熊のぬいぐるみを抱きしめて寝ていたが目覚まし時計の音で目が覚めた。夜22時に寝るが朝には弱いので、ショボショボする目を擦りながら目覚まし時計を止める。
着替えをすませて食堂の扉を開けると、すでにチームメイトのみんなが集まっていた。ミズキの存在にいち早く気づいたのはフィディオである。
「おはようミズキ。寝癖が付いたままだよ。ほら、おいで。直してあげるから」
「うん……」
ちょこちょこと小さな足を動かして近づいてきたミズキを、フィディオは抱き上げて膝の上に座らせ、ブラシで優しく梳いてあげる。心地よいのかミズキはウトウトしてついにまた眠ってしまった。
(((((可愛い!! 癒し!!)))))
そんな彼女の姿にオルフェウスは癒やされ、中には写メを撮ろうとする者がいたが……。
「ほらミズキ、終わったよ。朝食をもらっておいで」
「は〜い……。よっと。フィディオ、いつもありがとう!」
「どういたしまして」
今度こそ完全に目が覚めたミズキはフィディオの膝から降り、満面の笑顔をフィディオに向けて礼を言うと朝食を取りに行った。
対してフィディオはミズキを微笑ましく見送ったあと、自分に向けられている嫉妬や怒りの視線の方向へ振り向く。
「盗撮は犯罪だよ?」
「にこやかな笑顔で言うな! 余計なお世話だ!」
「フィディオは起きたばかりのミズキを独占し過ぎだ!」
「そんなこと言っても、ミズキが俺を選んだんだから仕方ないじゃん」
「「「「「ドヤ顔で言われるとさらにムカつくんだよ!」」」」」
マルコやジャンルカを始め文句を言われるが、フィディオは物ともせずに自慢気だった。
「みんなどうしたんだろう? 朝から賑やかだね」
「ミズキ、お前は気にするな。ほら、口元にパンクズがついてるぞ」
「あわわっ」
保護者ポジションでもあるブラージはミズキの意識をチームメイトから自分に向け、恥ずかしがりながらミズキはすぐにパンクズを取った。