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□強くなってもう一度
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これはクロノストーン編が終わったその後のお話。
サッカー禁止令もなくなり、時代を越えて出会ったフェイたちもそれぞれの時代に帰り、雷門中サッカー部はいつもの日常を取り戻した……――かと思いきや。
「松風天馬、剣城京介、あたしと勝負を願う!」
「「……えっ?」」
学校は休日の土曜日だが部活の練習はあるサッカー棟に現れたのは、かつてフィフスセクターの総帥・千宮路大悟の娘であり、ドラゴンリンクのキャプテン・千宮路瑞貴だった。
思わず呆気に取られた雷門中サッカー部だが、いち早く我に返ったので代表として天馬が話しかけてみる。
「えっと、確か千宮路瑞貴だよね? どうしたの? 急に勝負なんて……」
「ホーリーロード決勝戦以来、あたしはずっとファイアトルネードDD(ダブルドライブ)のことを考えて来た。正直今でもあのシュートを受けたときの威力が、この手に残っている……それを確実に止めるため、特訓を重ねてきて、納得できる仕上がりまでレベルアップした。頼む!」
「剣城、どうする?」
「……まあ、いいだろう」
「ありがとうございます!」
ホーリーロード決勝戦のときの荒々しい雰囲気は残っているものの、礼儀正しく頭を九十度下げてお礼の言葉を述べる瑞貴。しかし勢いがあるので天馬が苦笑する中、剣城は何かと『勝負だ!』と叫ぶライバルの白竜を思い浮かべていたとか。
――ゴール前にはグローブを嵌めてストレッチしている瑞貴が、そしてペナルティエリア前には天馬と剣城がいる。他の雷門メンバーはピッチの外で見学していた。
「ホーリーロード以来、千宮路さんはどれほど強くなったのかな?」
「化身使いでもあるから、きっともっとスゴい技を身に付けたんだよ」
「案外、パワーアップした天馬くんと剣城くんの前では大したことなかったりして」
「コラッ!」
輝と信助の会話を聞いた狩屋がニヤリと笑いながらそう言ったので、隣にいた霧野は咎めた。
その間に瑞貴もストレッチが終わり、パンパンと両手を叩くといつでもいいというように構える。
「準備OKだよ!」
「わかった。――剣城、いくぞ!」
「オウッ!」
「「ファイアトルネードDD(ダブルドライブ)!」」
ホーリーロードのときよりもレベルアップしているのが目に見えてわかる、天馬と剣城のファイアトルネードDD(ファイアトルネードダブルドライブ)。それに瑞貴はどう対抗するのか――!?
「賢王キングバーン!」
現れたのはホーリーロードで何度も雷門を苦しめた瑞貴の化身・賢王キングバーン。どれほどパワーアップしたのかと他の雷門メンバーは少しワクワクしながら観ていると……。