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□砂の星にやってきた!
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ペシッ!
「「アイタッ!」」
「この状況下の中、憶測でモノを言うんじゃないの。余計に不安を煽るだけでしょ」
「「すみません……」」
「ともかく、何かが潜んでいることは確かだ」
「だな」
瑞貴は原因である皆帆と真名部の頭を軽く叩くと、神童と井吹はどのみち『何か』がいるのは間違いないと踏んだ。
ギャラクシーノーツ号は部屋はあれど通路は一列なので、奥に行けば追い込むことができる。
「あとは食堂車のみね……」
「待ってください!」
「「「「「っ!?」」」」」
「心の準備をします……」
瑞貴が食堂車の扉の前に立つと、九坂が声を上げたので全員思わず顔を向ける。九坂は気合いを入れるように両頬を両手で叩く。
「よし……なんでも来い!」
「うん。みんなも少し下がって」
準備完了した九坂に瑞貴は頷くと全員に下がるよう指示を出した。それに従って天馬たちが少し下がったのを見て、瑞貴は食堂車の扉を開くと……。
「……なんでここにいるの?」
「「「「「えっ」」」」」
「あっ……フゥ……」
「信助! どうしてここに!?」
「へへっ……」
唖然とした瑞貴の声に他のみんなも顔を出すと、天馬はホッと緊張していた息を吐き、葵は声を上げる。侵入者の正体は、気まずそうに人差し指を合わせて苦笑する西園信助だった。
――とりあえず信助の話を聞くために、全員ミーティングルームに移動し瑞貴は黒岩を呼びに行った。なんでも信助はどうしても一緒に行きたくて、天馬たちが乗り込んだ隙に別の入口から潜り込んだようだ。
「密航だと!?」
「思い切ったことやるわね〜」
「ごめんなさい……」
自分がコソコソとしていたせいで鉄角やさくらたちを不安にさせたと聞いたので、信助は素直に謝罪した。彼の姿は地球で見たことがあったのでさくらと九坂は天馬に確認を取る。
「この人、キャプテンのチームメイトですよね?」
「そうか! どこかで見たことあると思ったら、雷門中の!」
「改めて紹介するよ、西園信助。ずっと一緒にサッカーしてきた仲間なんだ!」
「西園信助です。お騒がせしてすみません……」
信助が頭を下げて謝る中、黒岩とみのりを連れた瑞貴が戻ってきた。
「監督……信助も一緒に行かせてやってください!」
「お願いします! なんでもしますから、僕も連れて行ってください!」
「監督、俺からもお願いします!」
断られても信助はめげずに密航までしてきたのだ。天馬と信助は地球のときと同じように黒岩にもう一度頼み込む。
「どんな役割でも、果たすというのだな?」
「は、はい!」
「いいだろう。乗船を許可する」
「!」
「やった!」
「「ありがとうございます!」」
すでに出発しているとはいえ、地球にいたときは断ったはずの黒岩が許可を出したのでみのりは驚いた。それに気づかず天馬と信助は顔を見合わせて黒岩にお礼を言う。
「よかったね、信助!」
「うん! よろしくお願いします! ――あっ」
「…………」
葵にも頷いた信助は、アースイレブンのメンバーに頭を下げて挨拶をした。すると鉄角が両腕を組んで真剣な表情をして前に来たので、信助も緊張が走ると……。
「気に入った!」
「えっ?」
「どこへ向かうともしれねぇ船に、友達のために命をかけて乗り込むとは……お前、漢(オトコ)だ! 俺は鉄角真! よろしくな!」
「よろしく!」
ギリギリギリギリ……!
「アイタタタッ!」
「あっ、すまん! つい力が入っちまった……」
握手を交わす鉄角と信助。だが鉄角がかなりの力を込めていたので信助は声を上げると、鉄角は謝りながら手を離す。
「スゴい握力だね。さすがボクサー」
「知ってるのか?」
「うん! イナズマジャパンのメンバーの経歴はぜーんぶ頭に入ってるよ!」
「「「「「へぇ〜!」」」」」
「……イラつくんだよね、ああいう奴」
「…………」
入りたいチームのメンバーはチェックしていた信助にみんなが感心する中、一人輪から外れている瞬木が両腕を組んで顔をしかめて目を逸らしながら呟いたのを、ただ一人瑞貴は気づいて顔を向けていた。