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□行くぞ! 宇宙へ!!
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ポンッ。
「!」
「がんばったな、瑞貴」
「っ……!」
円堂に頭を優しく撫でられて、瑞貴は最初驚いたものの心地よくて目を細める。久しぶりの温もりと、やっと気を抜けることができたせいか、目尻に涙も浮かんできた。
「俺も本当はさ、悔しくてしょうがないんだ」
「えっ?」
意外な言葉が円堂の口から出て来たので瑞貴が顔を上げると、同時に円堂も瑞貴の頭から手を離して天井を見上げる。まるで遠くを見つめるかのように。
「座名九郎を合流して俺の役目は終わった。俺は瑞貴や天馬たちみたいにソウルはないし、みんなが最前線で戦っているのに俺は地球で待つことしかできない。大切な奴らが宇宙に行くっていうのに、何もできないことがさ――」
「そんなことないよ!」
「っ!?」
珍しく弱気になった円堂に向かって瑞貴がそう叫ぶと、間近だったからもあって円堂はびっくりした。
「守は地球に残って、修也や有人や秋ちゃんや温子さんたちを守ってあげて。それは宇宙に行ってしまった私にはできないことで、地球にいる守にしかできないことなんだよ」
「俺にしか……」
「私には私の、守には守にしかできないことがある。だからちゃんと、それぞれの役目を果して宇宙一になって帰って来たときにもう一度会おう。ねっ」
「……ああ。そうだな」
拳を差し出してきた瑞貴に、円堂はフッと笑って自分も拳を作るとコツンと軽くぶつけ合った。
「なんか、今日は瑞貴を励ますつもりが、逆に励まされちゃったな」
「私も、守にいっぱい甘えるつもりだったのにね」
「んじゃ、今から離れていた分をたくさん埋めようぜ。それも溢れんばかりな!」
「うん!」
今度は同じ空の下にいるのではなく、星を飛び出してしまうのだ。まるで充電するように二人はもう一度抱きしめ合い、お互いの温もりを感じるのだった。
☆☆☆☆☆
翌日、天馬は信助を連れて黒岩と水川みのりのいる監督室にやって来た。昨日の話通り信助の加入を許可してもらうためである。
「お願いします! 僕も、天馬たちと一緒にサッカーさせてください!」
「俺からもお願いします! 信助を宇宙に連れてってくれませんか!?」
「却下だ。お前では役に立たん」
天馬が加わっても一刀両断で告げた黒岩に、信助はあきらめずお願いする。
「だったら、僕をテストしてください! 僕だって、みんなに負けないようにずーっと特訓して来たんです!」
「黒岩監督、信助のサッカーに対する気持ちは俺たちにも負けません! きっと力になってくれます! だから、お願いします!」
「天馬……!」
「時間のムダだ」
「!」
「そんな……」
それでも尚、黒岩の意思は変わらなかった。
――退出するように命じられ、外のベンチに移動した二人。すっかり落ち込んでしまった信助を天馬は心配する。
「信助……」
「僕も、天馬たちと一緒にサッカーしたい……役に立ちたい……なのに、どうして……」
「……ねぇ信助、サッカーやろうよ!」
片付け忘れたのかグラウンドにボールを見つけたので、天馬は気分転換も兼ねて信助をサッカーに誘った。
二人はグラウンドに降り、ボールの蹴り合いをしながら会話する。
「なんか久しぶりだね。こうしてサッカーするのって」
「僕さ、サッカーに出会えてホントによかったって思ってるんだ。だって、大切な仲間や親友に出会えたんだもん!」
「信助……!」
「どんなピンチだって、天馬は真正面からぶつかって行ったよね。だから僕もがんばれたんだ。『天馬に負けるもんかー!』って」
「俺だって、信助やみんながいたからがんばれたんだ」
「天馬」
「ん?」
「僕、サッカーが大好きだ!」
「俺も、サッカーが大好きだ!」
いつだって天馬と信助はお互いが励みになっているので、挫けても立ち上がって乗り越えてきた。そして共通するサッカーに対する想いもあったからこそ、二人は親友になれたのだろう。
「また一緒にサッカーやろうね!」
「うん!」
「――天馬!」
天馬はうしろから声がかかって振り向いた。するとそこには三国太一を始めとした雷門中サッカー部が勢ぞろいしている。