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□行くぞ! 宇宙へ!!
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真名部はちょうど父・真名部陣介がまだ日本にいたので、宇宙へ行くことを伝えた。
「SF小説の読み過ぎだ。そもそもサッカーはどうした?」
「っ、反対しないのですか? サッカーをすることに」
「反対どころか、ずっと陣ちゃんの試合をチェックしていたのよ、パパは」
「えっ?」
てっきり宇宙へ行くという話と同時にサッカーをやめろともう一度言われると思ったのに、意外な言葉が出て来て真名部は驚くと、母・真名部恭子がそう教えてくれた。
「試合に負けたらすぐ学業に戻すためだ」
「パパ……!」
口ではそう言っているものの笑みを浮かべている陣介に、真名部は父の前で久しぶりに笑顔を出せたのかもしれない。
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九坂はいつもの工事現場で七瀬と六本松と六本松と神田里子に宇宙へ行くことを告げた。シャムシール戦で本当の強さに気づけたおかげか、警察に捕まるときのわだかまりはなくなり、元のように仲良くなっている。
「マジかよ」
「ああ、マジだ。大マジ」
「スッゲー! 宇宙人とタイマン張るんですね!」
「まあ、ちょっくら宇宙最強になって来るわ」
「リュウちゃんも冗談言えるようになったんだね!」
「えっ」
里子が冗談だと思って言ったので九坂はキョトンとすると、七瀬たちも九坂が世界大会に行く間に自分たちの寂しさを紛らわすためだと思って笑った。
「な〜んだ九坂さん、そういうことっスか」
「いや、だから……」
「次は世界大会だよね! 私、応援してるよ! がんばってね!」
「オ、オウッ……」
本当のことなのに本当のことが言い辛い、みんな真っ直ぐ応援してくれるので九坂は変な気分を味わっていた。
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夕方、皆帆はヨットハーバーグラウンドのベンチで父・皆帆左京の写真に話しかけていた。
「父さん、僕は楽しみなんだ。宇宙人との戦いで、どれだけ自分の推理力が通じるのか。がんばるよ、僕。だから見守っててね、父さん……」
宇宙人と出会い自分の推理力を試す機会など一生にあるかないかだ。皆帆は左京でもやったことのない試みを挑戦する機会が楽しみなのだ。
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鉄角は実家に戻り、港で鉄角徹に今までのことを話すと同時に宇宙へ行くと話した。それに徹は冗談と流すどころかスゴいというように笑っている。
「ハッ! ボクシングで世界チャンプを目指していた男が、今度はもっと上を狙うってか!」
「徹さん……! こんな話、信じてくれるんですか?」
「お前の目を見ればわかる」
「…………!」
「いいか、逃げずに立ち向かえ。そんで、もぎ取って来いよ。宇宙チャンプの称号をな!」
「ああ! やってやるぜ! この海を絶対に守ってみせるからな!」
目の前には沈む夕日が見える。この美しい景色を見せてくれる海、自分に大切なことを教え続けてくれる徹、一緒にいつか海に行くと誓った父のためにも、鉄角は夕日を見ながら気合いを入れた。
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ひので荘に戻った瞬木は、瞬木雄太と瞬木瞬と一緒に過ごしていたが、夕方には宿舎に戻ることにした。
「がんばってな、兄ちゃん!」
「応援してるからね!」
「本当は、お前たちのそばにいてやりたいんだけどな……」
「俺たちのことはいいって!」
「だって兄ちゃん、地球を守るヒーローなんだよ!」
「……俺がヒーローね」
幼い子供だからか兄の言うことだからか、二人は信じてくれた上に自分のことを『ヒーロー』と言ってくれた。その名にふさわしいのかなと瞬木は苦笑する。
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瑞貴は円堂と共に準備がてら久しぶりに家に戻り、お茶を飲んで気が抜けたのかソファに並んで座ったとき円堂の肩にもたれかかった。自宅と言うこともあり二人共いつもは首に下げている指輪を、左手の薬指にちゃんと嵌めてある。
「ありがとう、守」
「ん?」
「座名九郎くんのスカウトに成功して特訓してくれたこと、みんなの不安を和らいでくれたこと」
「いや、俺にできることはあれぐらいしかなかったからな。それにみんながサッカーを好きになってくれたことが何より嬉しいんだ。瑞貴や天馬たちのおかげだな!」
「私はただ指導しただけで一番スゴいのは天馬だよ。私はすでに事情を知っていたけど選手たちは知らなかったのに、天馬は見限らず、可能性を信じ、手を差し伸べ続ける……私が憧れるキャプテンと同じ姿をしていた」
瑞貴はコーチという立場上、できるだけ公平に接さないといけない。最初に神童たちへ厳しい言葉を告げたときも本当は胸が痛かった。自分を慕う教え子を突き放すようなものだったので、しばらくの間はかなり警戒されて寂しいとも思った。