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□クールな君の手料理!
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「瑞貴ちゃんの特製お好み焼き、僕も食べてみたいな」
「婚約の証がお好み焼きなんて変わっているね。興味あるから食べさせてくれるかい?」
「吹雪くん、アフロディくん、君たちまで悪ノリしなくていいから」
顔が笑っている時点で面白がっているのが丸わかりだよ。
「そうだよ! 食べるなら瑞貴を一番愛している俺が――」
「一之瀬くんにも食べさせないからね」
「……最近、秋が冷たい」
「さすがに秋もお前の瑞貴への求愛行動に呆れてんだよ」
この話題が延々と続き休憩時間がとっくに過ぎていたのを、様子を見に来た瞳子監督に怒られるまで忘れていた。
☆☆☆☆☆
夜になってテントの中で寝袋に入っているけど、今日のことがすっかり話題に持ち上がっている。
「まさか綱海さんに聞かれているとは思いませんでしたね」
「予想通りというか、一之瀬も食べたがってたな」
「それにお腹の音が何人かから聞こえてきたわね。お昼までまだ時間があったというのに」
「ムリもないかも。あんなに言われるとラブラブ焼きじゃなくても、私もお好み焼きが食べたくなったし」
「――じゃあ、食べてみる?」
「「「「えっ?」」」」
母も女の子に食べさせちゃいけないって言ってなかったからね。それにこのラブラブ焼きを伝授されたとき、味見も兼ねて一緒に食べたことがあったし。
「ラブラブ焼きだけど、女友達なら食べてもいいんじゃない? 仲がいいのもある意味『ラブ』だしね」
そう言うや否や、みんなの目がキラキラと輝いている。やっぱりみんなも食べたかったんだね。あんなに話題になったから仕方ないか。
「ぜひぜひ食べてみたいです!」
「あいつらが騒ぎ出すから余計に気になってたんだよな」
「私も作り方を知りたい!」
「今度こそ女子組の秘密ね」
「じゃあ次の休みに作るから、女子会しようか」
「「「「はい/うん/ええ/オウッ!」」」」
――後日、私が作ったラブラブ焼きは女子組に絶賛で、それを男子組に自慢したら『ズルい!』と憤慨されたとか。
「瑞貴! 俺にも作って!」
「女たちだけズリーよ! 俺も俺も!」
「「そして俺が瑞貴と結婚する!」」
「やかましい!」
特に一之瀬くんとお兄さんが私へしつこく要求して来たので、さすがにキレた私はローズスプラッシュで吹っ飛ばした。マネージャーとはいえ、一応サッカーできます。そしてやっぱりラブラブ焼きは家庭の味とは言えないと思いました。
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