□ムゲン・ザ・ハンドを超えろ!
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「どうしたんですか監督? フユッペも?」

「明日の練習は休みだよ」

「えっ?」

「冬花くんから提案があってな」

「「「「「おぉ〜!」」」」」


円堂の疑問をシンと響木が答えると、みんな嬉しそうな顔をして冬花を見るので、冬花本人も照れてるのか頬を赤らめる。


「フユッペが、提案を?」

「スゴい試合のあとだから、一日休んだほうがまたがんばれるかなって」

「ありがてぇ〜! 休み欲しかったんだ!」

「っ!」

「ハハッ……」


綱海条介が嬉しそうに両腕を伸ばすと、その際腕が飛鷹征矢のリーゼントに当たった。飛鷹がさり気なくクシで整えると、隣にいた宇都宮虎丸は苦笑していた。


「いい感じ! マネージャーらしくなってきた!」

「ですよねー!」

「お二人が親切に教えてくれたからですよ」


冬花の両隣にいる木野秋と音無春奈も褒め称えた。

ミーティングが終わって全員夕飯を食べていく。今日はトンカツとポテトサラダだ。


「これうまいな!」

「ああ」

「フゥ〜。食ったっス〜」

「相変わらず早いでヤンス……」

「あっ、コラ。プチトマト残さないの」

「うっせーな」

「…………」


円堂や豪炎寺修也、壁山塀吾郎や栗松鉄平、瑞貴や不動明王を始め、それぞれ楽しそうに過ごしていく中、立向居は一人だけ浮かない顔をしていた。それに気づいたのは久遠とシンの二人だけだった。

夕飯も終了して瑞貴は部屋に向かいながら明日の予定について考えていた。


「誰かと出かけようかな? 観光しながら何か食べたいな〜」

「瑞貴〜!」

「守?」


呼び止められて振り向くと、円堂が駆け寄って来た。


「明日、俺と風丸とヒロトと一緒なアイス食べに行かないか?」

「アイス?」

「オウッ! スペシャルアイスを売ってる店があるんだ!」

「うーん……」

「――おーい瑞貴ー!」

「――瑞貴ちゃーん!」


円堂の誘いにどうしようか考えていると、反対側の廊下から綱海と秋がやってきた。


「明日海に行ってサーフィンしようぜ!」

「女の子全員でショッピングに行かない?」

「瑞貴は俺が先に誘ったんだぞ!」

「えーと……」


これは誰か選ばないと解決しない雰囲気だ。バチバチ火花を散らす三人に瑞貴は悩んだ末に答えを出した。


「じゃあ、今回は先に誘ってくれた守たちと行くね」

「やったー!」

「チェ」

「今度は一緒に行こうね!」


円堂は喜んだが反対に綱海と秋はガックシと肩を落としていた。

待ち合わせ時間を円堂から聞いて瑞貴は部屋に入ると、携帯がメールを伝えるランプが点いていた。差出人は綱海から。どうやら先ほどの出来事のあとに送ったらしい。


『明明後日の朝はサーフィンしようぜ!』


確かに綱海は朝練の前に日課のサーフィンをしている。南の島だから一応水着は持ってきたし、たまにはランニング以外のことをするのもいいかもしれない。


「条介に了解のメールを送らなきゃ」
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