sirena2

□casa de dulce
1ページ/10ページ

【お菓子の家】

 ライフまで与作とサニーにセンチュリースープを届けに行った数日後、トリコは久々に自宅へ戻って来ていた。
 節乃食堂でセンチュリースープの存在を知り、アイスヘルへ行った後、ライフで左腕が完治するまで実に半年以上、家を留守にしていた事になる。
 そして、当然と言えば当然の如く、スイーツハウスは2匹のペットのみを残して跡形もなく姿を消していた。

 しかしこんな事でうろたえるトリコではない。
 ウェルカムドリンクならぬウェルカム蟹豚をテリーから受け取り、とりあえず新築の依頼をスマイル事務所に取り付けたトリコは、次に別の番号をコールし始めた。


〜テレフォンショッキング・sideトリコ〜

「もしもし?小松、元気か?おう、そりゃ何よりだ。
あ?いやそれがよ、久しぶりに帰ってきたらなーんもなくなってやがったぜ。…だから家が。
はははっ、心配ねぇよ、もう新しい家の依頼ならできてるからな。それでさ、ちょっと頼みがあるんだが、実は家を建ててくれる奴がセンチュリースープを飲みてぇって言ってんだけど、お前ここまで持って来たりできるか?
マジで!?ラッキー!あぁ、頼むぜ、小松!じゃあな!」
 

〜テレフォンショッキング・side小松〜

「もしもし。あ、トリコさん!はい、おかげさまでレストランも大盛況です。トリコさんはいかがですか?久しぶりの我が家。
え?無いって何がですか?
え?
えぇ〜!?家が無くなってたぁ!?大丈夫なんですか、それ!?
あ、そうですか、それなら良かったです。…はい、はい!お任せ下さい!今丁度スープの第3弾が完成したところなんです。はい、すぐにお持ちしますね!はい!ではまた後で!」
 携帯を置いた小松は1人呟く。
「よし、じゃあ早速準備を…。あ!そうだ!」
 そして何かを思い出したように別の番号をコールし始めた。

「あ、もしもしサニーさんですか?突然すみません、小松です。
実はですね、今からトリコさんちの新築をお祝いしてセンチュリースープを持って行くんですが、サニーさん、本当にスープ飲まなくても良いのかなぁ、なんて思いまして…。あ、やっぱり。はい、はい。すみませんでした。ではこれで失礼しますね。」

〜テレフォンショッキング・sideサニー〜
「もしもし?松?どした?
へぇ〜、トリコんちがね。ん?いや、ぜって−ヤダし。てか頼まれたってヤダし!あんなお下劣な顔になるぐらいなら死んだ方がマシだし!
まぁ、松に会うのは全然問題ないけどな…って、もしもし、もしーもし」
 サニーは照れ隠しにちょっと咳払いをしてから通話を終了した。

 トリコの家にもセンチュリースープにも興味ねぇけど、まぁ松の顔見に行くのは悪くねぇかな。
 そう考えながらヘリの準備に向かおうとしたその瞬間

「お兄ちゃん!今の話なに!?『トリコ』って言ったよね!?トリコがどうしたんだし!?まさかまたどこか怪我しちゃったとか!?」

 ひたすらトリコトリコと叫びながらリンがサニーの元へ駆け寄って来た。
 ね〜お兄ちゃ〜ん、と袖を引っ張ってくるリンの腕を「んな土管みたいな体で近寄ってくんなって」と振り払い、サニーは簡潔に答える
「あいつの家がまた新しく建つみたいだぜ。ま、お菓子の家じゃどうせすぐなくなっちまうんだろうけどな」

「えぇ〜〜!?トリコの新しい家!?それってウチとの新居って事!?行く行く〜!ウチも行くし!」

そしてヘリに乗り込むサニー、リン、マンサム。
…………
「え?」
「え?」
「え?ハンサム?」

「言ってねぇし、このハゲ!なんでここにいるんだし」
 結構酷いリンのリアクションにもめげる事なくマンサムはバッハッハと笑う。
 既に出来上がっているので細かい事が気にならなくなっているのだろう。
「当然私も付いて行くぞ。祝い事には酒がつきもの。新築祝いに皆でパーっと飲もうじゃないか!酒ならあるぞ!他でもないトリコの為だ、秘蔵のヤツを出して来た!」

 サンタクロースの荷袋のような物を見せながらそう説明すると、マンサムはまた手元から別の瓶を取り出してグビグビと飲み始める。

「ちょっ!クサ!てゆーか俺のヘリで飲食すんなって!汚れちまうだろ!」
「ハゲの相手チョー面倒くさいし〜!ねぇ、もう良いから出発しようよ〜、お兄ちゃ〜ん!」

早くウチらの新居見たいし〜、とうるさいリンに急かされ、サニーはしぶしぶ3人でトリコの新居へと向かう羽目になった。

「あ、良いこと思いついたし!ちょっと2人共静かにしててね。…出るかな〜?」

〜テレフォンショッキング・sideリン〜
「あ!ナナ!久しぶりだし!うん、ウチはチョー元気だし!
ねぇねぇねぇ、今日ヒマ?実は〜、トリコとウチの新しい家ができちゃったんだし!お兄ちゃんもいるし、ナナにも紹介したいから今からソッコー来て欲しいし!
え?そんなのココに言ったらすぐ運んでくれるっしょ?とにかく、待ってるし!じゃあね!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ