IGO大学体育会美食道部
□葉月の攻防戦(またはコミックスへの道のり)
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【登場人物】
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ココ
県警本部刑事一課勤務
巡査部長
通称『千里眼のココ』
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キッス
柴犬(色は黒)
諸事情により亜弥は『さん』付けで呼んでいる。
『さん』付けで呼んでいる内になぜか丁寧な口調で話しかけるようになってしまったが、今更どうしようもない。
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亜弥
相変わらずな感じ
最近、『トリコ』の夢小説にうっかりハマってしまって、コミックスが欲しい。
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(会話文のみです)
〜今年の8月某日〜
「ココさん」
「なんだい?」
「今年の誕生日なんですけど」
「随分先の話だね」
「まぁまぁ、思い立ったんでとりあえず先に言っておこうと思いまして…。
実は、『トリコ』のコミックスが欲しいなぁ、なんて思ったんですけど、良いですか?」
「どうして?」
「どうしてって…面白いじゃないですか、トリコ。ココさんも見てますし」
「そうだね。でもそれはアニメの話だろう?」
「いや、原作が面白いからアニメも面白いんじゃないですか?」
「そうとは限らないんじゃないかな?カラーで、音声も付いて動きもあるからこそ面白いと感じている部分は大きいと思うよ?」
「でも!原作とアニメはちょっと違う所もあるみたいで、そういうのって気になりません?」
「そんなに大した違いじゃないだろう?」
「いや、まぁ、そうかもしれませんけど…でも何となく気になったら知りたくて仕方がなくなるというか…」
「…富士山に、登ろうか」
「はい!?」
「うん、そうしよう。」
「いやいやいやいや!ちょっと待って下さい。なんでそんな話になるんですか!?」
「なんとなく、かな?」
「えぇ!?」
「山頂の綺麗な空気を吸ったらまた別の視点に目覚めるかも知れないよ」
「何言ってるんですか!?正気ですか!?」
「ボクは正気だよ。おかしいのはキミだ、亜弥」
「へ?」
「ストーリーならもう知ってるのに急にコミックを欲しがって、これからの放送もあるのに先を知りたがるなんて」
「いや、だからそれは純粋に興味が」
「怪しいな。…何かボクに隠してる?」
「あ!雨!雨ですよ!お洗濯入れなくちゃ!」
「じゃあ、次の休みにね」
「ほ、本当に、本当に行くんですか?富士山?
God damn seriousですか?」
「Hell yesだよ。せっかくだから御来光コースにしよう」
「…そんな、ふ、富士山って…」
「洗濯物」
「あ!はい!いや、え?えぇえ!?」
※ ※ ※ ※ ※ ※
「キッスさ〜〜ん!」
「わふ?」
「なんか私達、来週富士山に登る事になりました…」
「わふ?」
「なんでこんな事になったんですかね?
コミックス…富士山…。なんでコミックスが富士山に…。あ、整いました。
『コミックスとかけて富士山と解く、その心は…道のりはどちらも険しい』…って、む、むなしい…」
「く〜ん」