IGO大学体育会美食道部
□拍手ログ
2ページ/11ページ
〜文月小話〜
(市内道場で合同練習中)
「鉄平さんって」
「んぁ?」
「どうしてIGOの学生なのにうちの部じゃなくて市内の道場に通ってるんですか?」
「…………」
「…………」
「…………」
「(うわ〜、良く分かんないけど地雷踏んじゃった?)」
「まぁ、雰囲気かな?」
「雰囲気」
「ホラ、医学部って6年コースじゃん?院に進むならプラス4年だし。基本的に他の学部生と時間の感覚が違うんだよね。2年になったらキャンパス自体全然別の場所になっちまうしさ」
「なる程」
「しかも俺、じじぃの影響で子供の頃から美食道の世界に入ってたし、高校の時にはもう黒帯だったし、何か今更新入部員に混じってスポ根するのも面倒くさいじゃん?ていうかあそこまでガツガツしてんのってうちの大学だけだし。あれ完全にマンサム監督の趣味なんだぜ?あの酒乱教授、意味なく青春するのが大好きだからさ〜。ていうか、獣医学科の教授なのにあの人自身が猛獣でしょ?できればあんまりお近付きになりたくないんだよね。あ、俺専門違うから良く知らねえけど、あの人の講義あんまり人気ないらしいよ?」
「ちょ、その話マジか?」
「(その話って、どの話だろう?)サニー君、いつから聞いてたの?」
「んな事、どうでも良いし!それよりてっぺ、獣医学科の教授って他に良い奴いねぇの?」
「ん?転学でも考えてんの?」
「ちげーよ!オレじゃなくて妹の話だって」
「そう言えばサニー君って妹いるらしいね」
「あぁ。4つ違いだから入れ替わりになるけどな。そいつ、医学部の獣医学科目指してんだ」
「へぇ〜。まだ中学生なのにちゃんと将来の夢があるんだ。偉いね」
「今んとこIGO大狙いらしいけど、てっぺの話聞く限りじゃ超ヤバくね?」
「でも、マンサム監督以外にも教授なら沢山いるだろうし…」
「や、アイツの場合完全にピンポイント。希少鳥獣類保護の分野に進むって言ってっし、このまま行けばあのハゲの研究室で確定間違いなしって感じ。キモ!キモ過ぎ!てか、人気ない教授の研究室なんて美しくねーし!」
「…………」
「…………」
「んだよ、2人して」
「いや」
「まぁ…」
「何それ?2人して沈黙とかキモくね?ていうかはっきり言えよ、美しくねぇな」
「人気ない教授の研究室は美しくないって…」
「俺は身近に1人、そういう研究室にいる奴を知ってるんだけどなぁ」
「んだよ?」
「ほら、ジョージョー教授の研究室に在籍してる唯一の学生がいるじゃない。」
「あぁ、当時は学部を超えて医学部まで噂が広がったんだぜ?あのジョージョー教授の研究室に学部生が入る事になった、ってさ。それまでは半分騙されたみたいな形で留学生が入るくらいしかなかったのにだぜ?あん時はみんなマジ驚いたよ」
「…あ」
「そうかサニー、人気のない教授の研究室に入るのはそんなに美しくないか」
「ちょっ!!おま!ココ!いつから聞いてたんだし!」
「もちろん、最初からだよ。さ、最後にもう1本組み手でもしとこうか」
「行ってらっしゃーい」
「てめ!同期のクセに薄情だぞ!」
「逝ってらっしゃーい」
「くそ!てっぺ!お前ココと同じ学年ならもうちょっとフォローしてやろうとか思わねぇのかよ!?」
「後片付けは任せてね〜」
「いざとなったら俺が診てやるから安心してな〜」
※ ※ ※ ※ ※ ※
「お、ココとサニー、楽しそうじゃねえか?」
「(トリコさん、あれが楽しそうに見えるんだ)」
「(トリコ、あれが楽しそうに見えるのか)やっぱり俺、道場選んで良かったかも」
(きっとココは、亜弥とバイクで2人乗りしたあげくに髪の毛をいじってもらったサニーにジェラシーがあったんだと思います。サニー、ごめんよ)