sirena

□contigo
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【あなたと共に】

ココが再び家を留守にする日は、意外にもすぐにやってきた。

今度は日帰りが難しいかもしれない。

ココはそうナナに伝えて、食料の備蓄を十分に確認してからキッスに乗って飛び立って行った。

今回はキッスもこちらに帰って来られない可能性が高い。

万が一を考慮して街で宿を取るか、この家で待機するか。聞かれたナナは「万が一って何ですか!?」とちょっと臍を曲げてココを叩き出した。

庭の木の下で久しぶりにモリールソニャンドの実にかじり付きながら、ナナは物思いにふける。

ココの占いの結果はあまり芳しくなかったそうだ。

美食會の力は日を追う毎に増し、新しい技術開発も着々と進んでいるらしい。

これから、こうやってココもキッスも不在がちになるのだろうか?

それで、自分はこうやって彼らの無事を祈って帰りを待ち、その疲れが少しでも早く癒えるようにと努める事ぐらいしかできないのだろうか?

いつか本当に万が一の時が来てしまったら、自分はどうなるんだろうか…?

こんな所に1人でいても、どんどん悪い方に考えるばかりになってしまう。

ナナは膝をパンパンと払い、室内に戻る事にした。



―――――――――――


結局、夜になってもココもキッスも帰って来なかった。

手持ち無沙汰に見ていたテレビを消して、自室に入った

ナナは携帯を開いてみる。

時間は11時ジャスト

着信は0件


…かけて、みようかな?

ナナは携帯を眺めてベッドに寝ころぶ

いやいやいやいや、電話がかけられないって事はそれだけ大変な時間を過ごしている訳だから、かけていい訳がない。

でも、お休み代わりにワン切りくらい、しても良いかなぁ?

液晶を眺めながらしばらくゴロゴロ転がっていたナナは

「よし!うっかり押しちゃった事にしよう」

なんてしょうもない独り言を呟いてついにココの番号を押してしまった。

呼び出し音がナナの耳にやけに大きく響く。

1回…
2回…
3回

3回目の呼び出し音を我慢できずにナナは通話を終了させる。



はぁ〜〜〜、とナナは大きく溜め息を吐く。
心なしか頬が赤い。
なんだなんだこの乙女チックな展開は!?

あぁ、今からでも彼の元に行って今の着信を消してしまいたい。

携帯を畳んでベッド脇に寄せ、もう今夜は寝てしまう事にするか、と部屋の電気を消した。

その瞬間。

ナナの携帯が鳴り始めた。
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