sirena
□El sol
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【太陽】
西の空が夕焼け色に染まる頃、ナナは若干疲れた足取りでココと来た道を戻っていた。
ココはと言うと、大量の荷物を運びながらもその足取りはむしろ軽い。
(なんでもかんでもホイホイとカードで支払いって、何?占いってそんなに儲かるの?)
さすがにそんな失礼な事は聞けないが、ついそんな心配までしてしまう。
「疲れたかい?そろそろキッスに来て貰おうか?」
振り返ったココにそう聞かれ、ナナは「ぜひぜひお願いします」と半ば本気でお願いする。
その頬も鼻の先っぽもほんのり赤く染まっていて、確かに今日は沢山歩いたしな、とココはキッスに合図を送った。
すぐにキッスが現れ、「ア゛ー」と鳴く。
「え?そんなに赤いですか?」
頬に手を当ててナナが聞き返す。
どうやらキッスにも頬の赤さを指摘されたらしい。
「今日は朝から良いお天気でしたからね。ちょっと日に焼けちゃいましたかね?」
自分で自分の頬をピタピタとしながらナナがそう言えば、ココもそこで初めてその可能性に気付く。
「本当だね。帽子も買うべきだったな」
「えぇ〜?これ以上はもう勘弁して下さいって〜」
どうやら本気で嫌がっているナナを見ながら、ココはつい笑ってしまった。