Nineth book

□怪物対決と大会の裏
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前半の新人戦を終え、今は、中日の休養日だ。試合の終わった新人達は一様に休暇を楽しみ、逆に試合となる2年と3年は試合に備えての準備に入る者が多数だ。まあ、だが、特にやることもないという者もいるもので、それが

「なあ」

「なんだよ」

「暇だな」

「そうだな」

ライトとシュリだ。彼らが出場するのは二日目のナイトファイトと最終日のソルジャーフラッグなので、余裕があると言えばそうかもしれない。しかし、本来ここは繁華街として知られるバルラだ。暇なら外に遊びにいけばいいと、だれしもが思う。だが、彼らにはそれができない。なぜなら

「いつになったら出てくんだタコ野郎は」

「俺が聞きてえよ。だいたい、俺らみたいな健全な男子高校生に繁華街を見渡すだけの任務を回すなんてどうかしてると思わんか?」

「思うけどさ。相手が相手だからな。文句をいうだけ無駄だと思わんか?」

「たしかにな」

やる気なんて言葉は遥か昔に旅立った二人にとっては拷問としかいえない退屈な任務。それが、ただいまの張り込みだ。
この発端は新人戦が終わった昨日に遡る。シュリとライトはいつものメンバーと夕食をとりにホテルへと帰ろうとしていた。そこに、現れたのが、クソメガネだった。恐ろしいことに気配も何もなく、後ろをとられた上に気づけばポケットには何かのメモリーチップが入れられていた。それを仕方なく見ると今日のことが暗号で表示された文が出てきて、それを解いて、ここに来たが

「うんともすんともいわねえな」

「裏カジノだか裏賭博場だが知らんけど、わかってるなら踏み込んで捕まればいいじゃんな」

「同感だ。まあ、だが、なんか裏があるってことだろ」

「裏に巻き込まれないことを願うばかりだぜ」

「同感」

兎にも角にも二人は無償のバイトを一日中行い。帰るとノインに怒られ、トリーシャにいじられるというなんともありがたくない休暇を過ごしたのだが、この時、彼らが言っていた裏が彼らに深く関わるとは疲れからベットにダイブした二人には知る由もなかった。
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