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□Disappear
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「いってらっしゃい」
「ああ、いってくるよ」
毎日の日課であるあいさつをおえ、今日も普段通りの一日が始まり、そして、終わるはずだった。だが、彼は消えてしまった。たしかに、そう言われた。私の心が砕け散るのを感じた
「ベルケンドへの査察の途中、恐らく野盗かモンスターに船が襲われたと思われます」
なにか話しているのが耳に入ってきた。けど、私には、今はどうでもよかった。なぜなら、この剣はたしかにルークの物だったから、そして、乾いた血の後、そうルークの血、それが、なにを意味しているのかは、すぐにわかった。そして、あの惨上をみてしまったから、理解するのを、心がいやがっても頭がしてしまったから
「なんで……」
「ティア?」
「やっと、また逢えたのに、どうして、私の前からいなくなちゃったのよ。なんで、私の大事な物を奪うのよ」
なかば怒鳴り付けるように叫び散らす。普段のティアからは、考えられぬことだった
「ティア、落ち着いてください」
ナタリアが、言葉を発するが、ティアにはまったく聞こえていないようであった
「どうしたんだナタリア」
「ガイ!」
騒ぎを聞き付け、ガイが部屋に入ってくる
「もういや。生きてる………そうよ。死ねば、逢える」
ティアが、ナイフを自らの首に押しあてようとする
「やめろ!」
ガイがティアの手からナイフを弾き飛ばす
「邪魔しないで、私にはもう生きている意味がないの」
パァン!
するどい音が、部屋中に響き渡った
「馬鹿なことをいうな!勝手にあきらめるなよ。なんで、信じてやらない。あいつは誓っただろ。きみに、これからは一緒にいて、きみを守って!」
「でも」
「あいつは帰ってくるよ。前も帰ってきただろ。君のもとに、生まれてくる子のもとに、その時、君たちがいなかったら、だれが迎えてやるだい。信じるんだ。あいつは帰ってくるから」
「ええ」
途切れるような涙に霞んだ声だったが、はっきりとそういった