BOOK1

□兄弟愛
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いままでルーミンなんて言われて揶揄われてきたルハンはもういない。


散々カワイガッテくれた90lineもいなくなり、気が付けば俺がいちばん年上になっていた。


新しいメンバー構成でやっていくことに引け目はない。俺たちはもともと一つだ。海王星やら冥王星やらが惑星ではなくなったって星であることには変わりないんだ。
普遍的に俺らはずっと存在していて。それが大きな銀河系や太陽系の一部であることに変わりはない。


そうは思っていても、実際立たされてみると、自分一人だけ浮いてしまっているような、取り残されたような気になってしまう。
勿論、そんなことはないし、そんなつもりもない。



俺はスポットライトの当たっていたステージから降りた。

原稿を読み終えた俺が視線の合ったチャニョルと目を合わせても、チャニョルはいつものようにポーズを取ってお道化てみせた。

そんな俺に、ベクヒョンは横にきて、

「大丈夫?元気ない?」

と声をかけてくれる。


この子は聡い子だなって、その時思った。


でも俺はその時に、大丈夫だよ、とも優しいね、とも声をかけられる人間ではなかった。

横からシュッ、とダンスの決めポーズをして見せるチャニョルを可笑しく笑えば、ベクヒョンはそれで安心したように表情を戻す。


「チャニョル〜も〜やめろよ〜w」

笑いながらチャニョルの背中をはたいていく後ろ姿を見送る。


お道化てくれた方も、

声をかけてくれた方も、

どちらも優しさだ。



俺はそう思う。

その時に心に決めた立ち位置。縁の下の力持ちのような人になろう。メンバーみんなを支えられるような、いい兄になろう。




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