BOOK1
□レコーディング
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レコーディングって聞くと、ものすごく大変なものだと思う人もいるかもしれないけど、実際にはそんなに普段とはなんも変わらない。
長い時には朝から晩までしなければいけないから、大変そうに見えるのかもしれないけど、していることはただ歌うだけだから、そんなに難しくない。
レコーディングと聞くと何日も前から声のコンディションを整えるために過酷なことをしているんじゃないかって連想する人も多いみたいだけど、実際はそうじゃない。
決まった日程、日取りがあって、その日まではごく普通に生活してる。スタジオに入ることもあるし、雑誌に取材が入ってたりもする。
ある大物アーティストで、レコーディングの当日は風邪をひいていて、声がいつもと違って大変だった、なんて言ったって、出来上がりは神レベルのCDなんだからすごいよね、なんていうのは有名な話だ。
カラオケで、8時間以上歌い続ける人はいないから、俺らの仕事が過酷に見えるのかもしれないけど、俺は、ダンスがない分レコーディングは合っているように思う。
自分の声質を理解するのも好きだし、今まで出なかった音域が出せるようになったり、新たな発見があって楽しい。
声にも、一期一会のようなものがあって、レコーディングの時しかだせなかったような音もある。
不思議なものだけど、ステージやライブに同じものが2度ないのと同じように、レコーディングもまた、その1日だけ。
出来上がりに加工された音を聞けばまた新鮮な気持ちになるし、音楽って言うのは本当に面白いと思う。
同じ歌詞でも、その時々によって感じる部分が違うみたいに、まったく違う歌に聴こえたりもする。
意味合いは同じなのに、心に響く部分が違って、まったく違う歌のように聴こえる。
そのたびに、俺は音楽ってすごいなぁって思う。
昔から知ってるけど。
それでもずっと探求していきたい。未知なる世界が多い我が親友のような――。
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