BOOK1

□雪
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それ以来ジョンヒョンはミノに距離を詰めてこない。


お前はさ、もっと周りを見たほうがいいよ、俺にばっか固執しないでさ。


前に、ジョンヒョンにミノははっきりとそう言われた事がある。周りが見えていないと。自分にばっかり構うのは、俺が頼りないからなのか?と問い詰められたこともある。

そうじゃないと思っていても、しっかりと口に出して言えなかった。ミノにとってジョンヒョンを心配するというのは、知らないうちにでも、兄としてのプライドを傷つけていたのではないかと・・そんな風に思ったら何も言えなくなってしまった。

自分が年下であること。兄を立てなければいけないこと。それは、ジョンヒョンを愛しく思う感情が大きくなるにつれて複雑になっていった。

ちくいち心配してしまうのも、愛情だといえばそうなのだろうけど、それを重たいと言われてしまえば何もいえない。ジョンヒョンを傷つけたくない。それはやがて、少しずつ、2人の溝となって大きくなっていった。


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