まだ雪の残る道を、踏みしめるように歩いた帰り道。
残した足跡を引き返すようにしてミノの元に戻ってきたジョンヒョン。
一瞬きょとんと目を丸くした彼を包むように両手を頬っぺたにあてた。
それから背伸びするように彼の唇にそっと触れようとした。瞬間、ミノが驚いたように体を後ろにずらした。
静かに離れていくジョンヒョンの手。
そして二人の間にまた、ぽたりと雪の華が落ちてきた。
ミノは目を瞬かせてジョンヒョンを見つめた。
ジョンヒョンの手はもう冷たくなってる。
ミノはそこでようやく気が付いたように彼に触れようと手を伸ばした。
だけど指先は彼の頬に触れることなく宙に浮いたまま。
ジョンヒョンはくるりと踵を返し、振り返ることもなく新雪の上に足跡を残していった。
【雪】
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