BOOK1
□華
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代わりがきかないことに気付いてしまった時、はじめてこわいと思った。
「今度の休み、どこいく?」
「え・・・、ミノ・・・は?」
「僕?僕は・・・久しぶりに実家帰るけど」
「・・・・そ、そっか・・」
ぎこちない返事をかえしたら、ミノが驚いた顔で僕を見てきた。
僕は慌ててかぶりを振る。
時々、とても怖くなる。ミノは僕がいない時何をしているんだろう、とか。ミノがいなくなった時の自分のことを考えると怖くなる。とても寂しい人間なんじゃないかって思う。彼がいないとまるで何も出来ないみたいで。自分が自分でとても虚しくなる。
依存し易い自分の性格を理解してなかったわけじゃない。だけどやっぱり・・・・
「・・なに?どうしたの?僕の顔に何かついてる?」
「・・・ううん?」
ミノを見つめている僕に気付いた彼が、不思議そうに僕の顔を見て笑う。
この笑顔が、たまらなく好きだと思ってしまったのはいつからだったんだろう。
僕のものではないのに・・・この手がなかったら生きていけないみたいな自分が嫌になる。
「実家、楽しんでこいよ」
「お前もたまには帰れよ?」
くしゃっと頭を撫でてくれる大きな手の平。
それだけで僕はもう・・・胸がつまりそうだ。
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