BOOK1

□華
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気がつけば、顎に指を置かれて、顔が近づいてきた。

触れるようなキス。


それがなんだったのか答えを訊く間もなくジョンヒョンは僕の前からいなくなっていった。




【華】



僕がそのことを思いだすのは、決まってミノを見つめている時だった。

後ろめたさや、罪悪感からなんだろうか。

告白しようにも、別に僕が悪いわけではないのに責められる気がして尻込みする。

ミノは優しいから、僕の心の拠り所になってくれる。

僕はミノが好きだ。
自分が思っている以上に。

それは最近、幸せそうな末っ子のテミンを見ててそう確信した。

ああ、僕の気持ちはこれと同じなんだろうなって。

幸せそうな笑顔になれる理由を知ってる。僕もそれを知ってるから。

僕はミノがいる時に幸せな気持ちになれるんだ。


他の誰でもない。





それが時々、すごく苦しい――。




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