BOOK1
□恋
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朝になって、リビングに行くと、キボムの姿はもうなかった。
「早いね。キボム出かけたの?」
「友達ンとこだと」
先に席についてたジョンヒョンが興味なさげに答える。
パラリとめくる雑誌。オリコン雑誌の週間順位を目で追いながら、ジョンヒョンはテーブルに頬杖をつく。
ミノは黙ってその背中を眺めてた。
「あのさ、」
「はい?」
「・・・なんか食うためにここに来たんじゃないの?」
「あー・・いや、別に・・」
じっと見られてるのが癇に障ったのか、ジョンヒョンはくるりとミノの方に向き直った。
見上げられて、ちょっとドキッとするミノ。
「そういう・・、」と言い掛けたジョンヒョンの言葉をミノは止めて、自分が続きを言った。
「そういう、あからさまな態度、嫌いなんですよね?」
「・・・・」
ジョンヒョンは何も言わないで、またもとの姿勢に戻っていった。
「でも僕が見てないのも嫌なんでしょう?」
「・・・・」
ジョンヒョンが黙って。しばらくしーんとなった後、「俺は別に・・」と言い掛けた言葉もミノは止めた。
「keyが関係してるわけじゃない。そうですよね?keyのためとか、keyのせいとか、そんなんじゃあないのは。それは、ちゃんと、わかってます」
ミノは後半をはっきりと、強い口調で言った。
「だから・・・・」
「ジョンヒョニヒョンが僕のことを好きなのも、わかってます!」
語尾は力強くした。
ミノには精一杯だった。彼をここに留まらせて、取り押さえておく最善の策はこれしかないと。ミノにはそう思ってはっきりと告げた。
告白はうまくいったのか、ジョンヒョンからは反論も否定も何もなかった。
ただ黙って、背中を向けていた。
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