BOOK1
□意外@カイSS
1ページ/1ページ
驚くというのは、
たいてい、ぜったいにそうじゃないだろう、という勝手な思い込みによって成る。
人柄とか性格とか、いろいろを考慮して、この人はこういう人なんだろうっていうのを勝手に作り上げて、
その人がそうじゃなかった時に、人間驚いたりする。
そういう、ものだ。
【意外】
「ジョンインー!ちょっといい?」
カイ「ん?え、なに?」
ここはEXO-Kが集まる楽屋で。
そんなとこでカイの本名を呼ぶ年上の女性が現れたので、
少なくとも5人全員は彼女の方に目を向けた。
すぐにスホがその女性の素性に気付いたのか、またすぐに読んでいた本の方に目を戻す。
俺とベクヒョンとディオはまだ彼女を見たままだ。
カイ「今いく」
みんなの好奇的な視線を掻い潜って、カイはドアのところにいる彼女のところに走る。
彼女は高そうな差し入れなのか、包装紙に包まれたお菓子の箱を彼に手渡す。
照れたようにはにかんで笑う彼の笑顔を知らなくて、俺は驚いて心臓が停止したように動けなくなっていた。
ベクヒョンはそろそろ気付いたのか、目線を戻してスホの肩を叩く。
ベクヒョン「・・・あの人、誰ですかヒョン?」
スホ「あの人って?・・・・ああ、カイの恋人だよ」
ディオ「恋人?!」
どう見たって同年代や、それより下には見えなかった。
完全にできる女・・・ヌナ、っていう世代だ。
少なくとも、平気な顔をしてこんなところに顔を出せるのはヌナ以外に有り得ない。
目に焼き付ける様に彼女を見つめた後スホたちの方に目を戻すと、
さっきまで黙っていたセフンと目があった。
こう見えてセフンはカイと同じ1994年生まれだ。
セフン「意外・・・。彼はもっと可愛い子と付き合ってるのかと思ってた」
チャンヨル「お前失礼だろ」
セフン「でも、可愛いよりは美しい、だろ?」
チャンヨル「・・・・まぁ、たしかに…」
俺はもう一度入口の方に目を向けた。
カイは少なくとも俺の知らない顔で笑っていた。
チャンヨル「・・・・意外‥」
スホ「たしか、友達のテミンも年上じゃなかった?影響されるっていうか」
チャンヨル「そうなの?」
くるりと振り返り俺にはにかんだ笑顔でお菓子の箱を掲げて見せるカイに、俺は正直まだ目が驚いたままだ。
チャンヨル「・・・・・・・・意外だぁ‥」
俺にはまだまだ知らないことだらけだ。
.