BOOK1

□番外編〜ジョンヒョンの彼女とベクヒョン〜
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「ばかぁ、ぜったい後悔するよ?情に流されて付き合っちゃ絶対ダメだって!先に断れない?バカ、先に手首掴まれてガッって攻められたらどーすんのよ?じゃあ何?相手のキスがうまかったら付き合えるわけ?相性がよかったらつきあっちゃうわけ?まぁまぁ、顔がイケてなくても目ぇとじちゃえばいいわけだしね?最悪バックからでも・・・あ、そーいう話じゃない?じゃあ何よ?付き合いたくないならはっきり断りなさいよ!え?今?まわりに人・・・?」


彼女はそこでようやく、僕の存在に気が付いてくれたみたいで。

顔を真っ赤にして俯くしかない僕を見つけて、びっくりしたように目を丸くして電話を切った。


「・・・ごめんね?」
「い、・・いえっ‥」

今日は実家の用事があって。いつものマネージャーさんと宿舎を出てくることができなかった。

僕は初めて会うしゃいにーのマネージャーさんに連れられて仕事場に来ていた。メンバーを乗せたバンはまだ来なくて、エントランスの前の柱に寄りかかっていた僕ら。そこに、唯さんの友達から電話がかかってきて・・・という流れで、冒頭に繋がる。


電話を切った彼女と気まずい空気が流れだすと、ふいに、彼女を呼ぶ声が聞こえて。男の人がぶんぶん手を振りながらこっちに歩いてきた。

ジョンヒョン先輩だ。

ジョンヒョン「何?朝から後輩口説くために俺のこと置いてったの?」

「違うわよ。ベクヒョンだけ朝来れないっていうから・・」


僕は90度に会釈して、"ジョンヒョン先輩のマネージャー"さんから、距離を取った。


「へ?」

ジョンヒョン「怖がられてるんじゃないの?」

ベクヒョン「ち、違いますっ!気に障ったらいけないと思って‥」

「は?」

ベクヒョン「おお‥おふたりは‥付き合ってると窺ったので・・・その・・」


ジョンヒョンはその答えに盛大にふきだすように笑って彼女の肩を組み、グイッと引き寄せて頬にキスをした。

ベクヒョンは間近でそんな行為を目にしたことがなくて赤面する。

うぶな反応に、ジョンヒョンはクツクツと愉しそうに肩を揺らした。



ベクヒョン「あ、あの‥っ」

ジョンヒョン「ん?」

ベクヒョン「お二人は・・・どうして付き合ってるんですか?」


ジョンヒョンはその、20歳を過ぎても純朴な質問に、にんまりと口元を綻ばして、彼女から離れて彼の肩を組んだ。


ジョンヒョン「知りたい?」


そして内緒話をするように耳元に顔を近づけて、こそこそっと小さな声で言った。



ベクヒョンは驚いたように肩を揺らして、その場に固まって動けなくなった。


「おーい、ベクヒョンー!」


そこに、バンから降りてきたチャンヨルが駆け寄ってきた。

放心するベクヒョンに近づき、首を傾げて肩を叩く。


チャンヨル「ベクヒョン?」


ベクヒョン「・・・先輩が、淫らだった!」

チャンヨル「は?」




ベクヒョンが顔を真っ赤にして見送っていた2人の男女の背中に気付き、自分も視線を向けてみるものの。

チャンヨルはきょとん?と首を傾げたまま、放心するベクヒョンに目を瞬かせた。




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