BOOK1

□ミノ誕生日SS
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ほんの少し前まで

ヒョンと僕の歳の差は2歳だった。

ヒョンは21歳で、僕は19歳だった。

同い年のはずのキボムが、9月に誕生日を迎えて僕を追い越していった時。ずいぶんと勝ち誇った顔をされたのを思い出した。

ヒョンが歳をひとつ重ねた時も嬉しそうだった。

得意げに、背の高さは変わらないのに僕を見下ろすように、実際は見上げて(笑)とても可愛かった。

口角をあげて、「今日から俺のが2歳お兄さんだな!」

って勝ち誇ったように言った兄さんをみたら、なんだか胸がいっぱいになって…

自分が今日、誕生日を迎えることが億劫になる。


2歳差になったことをあんなに喜んだ兄さんをみたあとに、

どんな顔をして誕生日を迎えていいのかわからなくなる。

本当は20歳になる僕のことは嫌いになる?

ヒョンは最近テミナとも仲がいいし…

むしろ気がつけばテミナの隣とかに座ってるし…

テミナを女の子にしたいとか言い出すし…それで僕が拗ねたら今度は、女の子だったら僕と付き合いたいとか…別にそーいうことを言って欲しかったわけじゃなくて僕は…



僕はテミナみたいに可愛くもないし、

こうして大人になってしまうし…

もしかして…


ヒョンは僕のことを嫌いになってしまうかもしれない。





ミノ「………」



どん底の気持ちのまま迎えた誕生日の朝。

横を見れば、いつも通り僕より早起きした兄さんが、ベッド脇から顔を出して僕を覗き込んでた。


ミノ「な、んですか…?」

ジョンヒョン「なんだと思う?」



一瞬、ひやっとする。






ジョンヒョン「誕生日おめでとう」

ミノ「えっ?」

ジョンヒョン「なんだよ、1歳年取ったんだから、おめでとうだろ?」

ミノ「・・・・もう・・きらいになるかと、」


ジョンヒョン「俺が年とったら嫌いになんのか?」

ミノ「・・・いや、なりませんけど・・」

ジョンヒョン「だろ?」


いつもと変わらない手で、僕の頭を撫でてくれたヒョン。



それだけで僕はもう――。



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